専任のマーケ担当がおらず、SEOに何から手をつければよいか迷う中小企業は少なくありません。答えは記事を増やすことではなく、成果に直結するページから優先して直すことです。本記事では優先すべき施策と後回しでよい施策、兼任1名でも回せる時間配分、費用の判断基準を解説します。読み終える頃に見えてくるのは、自社が今日から着手すべき優先順位です。
中小企業がSEOで得られる集客と、記事を増やすだけでは成果が出ない理由
自社が中小企業に該当するかどうかを確認しないまま、SEO対策に着手してしまうケースは意外に多いものです。区分が分かれば、参考にすべき事例や使える支援制度の範囲も見えてきます。自社より何倍も規模の大きい会社の成功事例を、そのまま持ち込んでしまう事故も防げます。まずは定義と全体像を押さえたうえで、記事を増やすだけでは成果が出ない理由を確認していきましょう。
そもそも自社は「中小企業」に該当するか(資本金・従業員数の基準)
中小企業基本法における中小企業者は、業種ごとに資本金と従業員数で定義されます。製造業その他は「資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人」です。 中小企業庁はこの定義を、法律や制度によって扱われる範囲が異なることのある「原則」と位置づけています。自社の区分を先に確認しておきましょう。
| 業種分類 | 中小企業基本法の定義(原文ママ) |
|---|---|
| 製造業その他 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人 |
| 卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
| 小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人 |
| サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
小規模企業者については、次のとおり従業員数のみが基準です。
| 業種分類 | 中小企業基本法の定義(原文ママ) |
|---|---|
| 製造業その他 | 従業員20人以下 |
| 商業・サービス業 | 従業員5人以下 |
日本企業の99.7%が中小企業。前提は業種を問わず共通
中小企業庁の集計によると、2021年6月時点の中小企業の企業数は336万社にのぼります。 同時点の企業数全体に占める割合は99.7%で、大企業はわずか0.3%です。規模の大小にかかわらず、SEOに取り組む土台となる母集団のほとんどは中小企業ということになります。つまり検索結果で競合するのも、多くは同じように限られた人員で運用している企業です。潤沢な予算を前提にした施策と比べる必要はありません。
| 区分 | 2021年(6月1日時点) |
|---|---|
| 中小企業 | 336.5万社 [99.7%] |
| うち小規模事業者 | 285.3万社 [84.5%] |
| 大企業 | 1万364社 [0.3%] |
記事を増やすだけでは成果が出ない理由(Googleが「重要でない」とする施策)
Googleは、コンテンツの長さについて「上位に表示させるという目的に関しては、コンテンツの長さだけを調節しても無意味です」と明言しています。見出しの数についても「魔法の見出し数や理想的な見出し数といったものが存在することもありません」としており、どちらもGoogleが重要でないと位置づける項目です。 追うべきは記事本数という物量の指標ではありません。
出典:中小企業庁|中小企業・小規模企業者の定義 出典:中小企業庁|中小企業・小規模事業者の数(2021年6月時点)の集計結果を公表します 出典:Google検索セントラル|検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド
限られた時間で優先すべきSEO施策と、後回しにしてよい施策
限られた時間の中では、何を優先し、何を後回しにするかを先に決めておく必要があります。やるべきことを並べただけのリストは、結局どれにも手がつかないまま残りがちです。BtoB商材の場合は検索する担当者と決裁者が別であることが多く、優先順位の付け方も変わります。詳しくはBtoBのSEOとBtoCの違いとは?検索者と決裁者のズレから解説で扱いました。 ここでは業種を問わず共通する優先順位を整理します。

今すぐ着手すべき施策:ユーザーが読んで役立つページを作る・直す
Googleは、検索結果での存在感を高めるには魅力的で役立つコンテンツを作成することが「このガイドで説明している他のどの方法よりも有効であると考えられます」としています。 検索語句をそのままページに使う必要はなく、関連性はGoogleの言語マッチングシステムが把握する仕組みです。まず取り組むべきは、既存ページを読者にとって役立つ内容へ書き直すことです。
後回しにしてよい施策:メタキーワード・URLの英語化・見出し数の調整
Googleは「Google 検索はキーワード メタタグを利用しません」と明言しており、メタキーワードの設定に時間を割く必要はありません。ドメイン名やURLパス中のキーワードだけでは「パンくずリストに表示される以上の効果はほとんどありません」としています。 見出しの数にも「理想的な見出し数といったものが存在すること」はなく、形式面の調整は優先度を下げてよい施策です。
「AEO/GEOハック」より、SEOのベストプラクティスを優先する
生成AI検索が広がるにつれ、「SEOはもう意味がないのでは」という声も出てきました。Googleは生成AI検索向けの最適化について「生成 AI 検索向けに最適化することは検索エクスペリエンス向けに最適化することであり、SEO の範疇にあります」と述べています。 「不要な AI テキスト ファイル(llms.txt など)の作成、不自然な言及の追求などの戦術は無視できます」とも示しています。
出典:Google検索セントラル|検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド 出典:Google検索セントラル|Google 検索の生成 AI 機能向けにウェブサイトを最適化する
専任担当がいなくても回せる、兼任1名の時間配分と生成AIの使い分け
専任のマーケ担当がいなくても、SEO対策を進めることは可能です。鍵になるのは、生成AIに任せられる作業と、経営者自身にしか書けない部分を分けておくこと。この線引きさえ決まれば、週に数時間の確保でも運用は回り始めます。逆に線引きが曖昧なままだと、AIが出した内容の確認に時間を取られて手が止まりがちです。以下では兼任1名でも回せる時間配分と、生成AIとの役割分担を整理していきます。

リサーチ・構成案づくりは生成AIに任せられる領域
リサーチや構成案づくりは、生成AIに任せれば作業時間を大きく圧縮できる領域です。ただしGoogleは「一般的に、優れたアドバイスとは、データや経験に基づいて主張を意見として位置づけたものや、Google 検索の公式ガイダンスを引用して主張を裏付けたものです」としています。 AIが出した情報は、この基準に沿っているかを確認してから使うことが前提です。
現場で見た事実に基づく一次情報は、経営者自身にしか書けない
生成AIが担えるのは一般化された情報の整理までで、現場で実際に見た事実は経営者自身にしか書けません。Googleも小規模なローカルビジネスの経営者はおそらく作業の多くを自分で行えるとしたうえで、「SEO スターター ガイドから始めることをおすすめします」と示しています。 一次情報の有無が、記事の説得力を分ける要素です。現場で起きたやり取りや実際に使った工夫は、外部から調べても出てこない情報です。
公開後は「数週間待ってから」効果を確認する
SEO対策は、公開してすぐに順位へ反映されるとは限りません。Googleによる説明は「数時間かかる変更もあれば、数か月かかる変更もあります。一般的には、数週間待ってから Google 検索の検索結果に良い影響があったかどうか確認することをおすすめします」というものです。 効果測定のタイミングも、時間配分の中にあらかじめ組み込んでおくとよい工程です。
出典:Google検索セントラル|サードパーティの SEO ツール、サービス、アドバイスの使用に関する Google 検索のガイダンス 出典:Google検索セントラル|SEO 業者の利用を検討する 出典:Google検索セントラル|検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド
SEO対策の費用はどう考える?相場よりも確認すべき判断基準
SEO対策の費用は、金額の大小だけでは妥当性を判断できません。安ければ損をしないわけでも、高ければ成果が出るわけでもないためです。判断の軸になるのは、提示された金額の裏にどんな根拠が置かれているか。相場をいくら調べても、この一点が確認できなければ判断はつきません。以下で整理するのは、相場に代わる業者選定の判断基準です。

中小企業のSEO予算の「相場」を示す公的統計は存在しない
SEO対策の費用相場を検索すると、月額◯万円といった数字を掲載する記事が数多く見つかります。しかし、中小企業の広告宣伝費やSEO予算について、公的統計として存在を確認できた出典は見当たりませんでした。 掲載されている金額の多くは、各社が自社の受注実績から示したものです。前提となる業種や記事本数が違えば、そのまま自社にあてはまるとは限りません。次に整理するのは、相場に代わる確認基準です。
Googleが示す「SEO業者に確認すべき9つの質問」
SEO業者との面談では、何を聞けばよいか分からないまま金額の話だけで終わってしまうことがあります。Googleは、候補と面談する際の効果的な質問の例として、次の9項目を挙げています。金額の内訳だけでなく、これらへの回答内容こそが妥当性を判断する材料です。 専門知識がなくても、答えの具体性は判断できます。過去の実績や成果の測定方法を説明できない場合は、そこが立ち止まる目安です。
| # | 質問(原文ママ) |
|---|---|
| 1 | 過去の作業のサンプルと成功事例をいくつか紹介してもらえるか。 |
| 2 | Google 検索の基本事項(旧称: ウェブマスター向けガイドライン)に準拠しているか。 |
| 3 | 期待される結果とその時期、成果はどのように測定するのか。 |
| 4 | 同業種でどのような実績があるか。 |
| 5 | 該当する国や地域でどのような実績があるか。 |
| 6 | 外国語サイトの開発について、どのような経験があるか。 |
| 7 | 創業年数はどれくらいか。 |
| 8 | 担当者とどのように連絡をとればよいか。サイトに加えたすべての変更に関する情報、およびアドバイスの内容に関する詳しい情報とその理由を伝えてくれるかどうか。 |
| 9 | SEO 業者があなたの会社とビジネスに関心を持っているか。関心を持っていない場合は、別の SEO 業者を探します。あなたの会社とビジネスに関心を持っている SEO 業者であれば、あなたのビジネスの独自性、競合他社、検索結果がどのように役立つか、顧客がどのようにあなたを見つけるかについて質問するはずです。 |
避けるべき業者のサイン:順位保証・特別な関係・優先登録
Googleは、SEO業者が「変更を行うことで、検索結果の最初のページに必ず表示されるようになります」などと説明する場合は、他の業者を探すよう勧めています。「Google で一番上に掲載されることは誰にも保証できません」とし、掲載順位の保証やGoogleとの「特別な関係」「優先登録」を強調する業者にも注意を促しています。 何千もの検索エンジンへの登録申請を宣伝する業者も、避けるべき対象です。
出典:Google検索セントラル|SEO 業者の利用を検討する
SEO対策に取り組まないほうがよい中小企業の見分け方
SEO対策は、すべての中小企業にとって最優先の施策とは限りません。検索需要がほとんど存在しない業種では、成果に届くまでの負担が大きくなりがちです。製造業における特殊性は製造業のSEO対策はなぜ難しい?特殊性と成果の出し方を解説で扱いました。 向いていないと分かれば、その時間を別の施策に回せます。以下では、取り組まないほうがよいかどうかを見分ける3つの基準を整理します。

そもそも検索需要がほとんどない商材ではないか
SEO対策は、検索する人がいて初めて効果を生む施策です。扱う商材や業種によっては、検索需要そのものがほとんど存在しないケースもあります。 まずは自社の商材について、検索する人がどれだけいるかを確認しましょう。特殊な設備や、業界内の紹介で取引が完結する商材では、そもそも検索窓に言葉が打ち込まれていないこともあります。
指名検索や紹介だけで商圏が十分に回っているか
社名やサービス名による指名検索、既存の紹介経由だけで商圏が十分に回っている場合、SEO対策の優先度は下がります。新規の検索流入を増やす必要性そのものが、事業の状況によって異なるためです。 まずは直近1年の問い合わせが、どの経路から来ているかを洗い出してみてください。紹介が大半を占めるなら、その経路を太くするほうが早いという判断もありえます。
投資回収に見合う粗利・商談化までの時間があるか
SEO対策で必ず必要になるのが、記事制作や改善にかかる時間というコストです。Googleも「明示的な SEO をまったく行わなくても多くのコンテンツが成功を収めている」と述べており、SEOだけがすべての企業に必要な施策ではありません。 投資回収に見合う粗利や商談化までの時間があるかを、他の施策と並べて比較する視点が欠かせません。
出典:Google検索セントラル|Google 検索の生成 AI 機能向けにウェブサイトを最適化する
合同会社ワンブリマーケティングについて
合同会社ワンブリマーケティングは、SEO・オウンドメディア運用・生成AI活用支援を専門とする企業です。専任のマーケ担当を置きにくい中小企業のリソース制約を踏まえ、優先順位を明確にした支援を行っています。 自社の状況に合わせた進め方を相談したい方は、お問い合わせからご連絡ください。
中小企業のSEO対策についてよくある質問
Q1. 中小企業がSEO対策で今すぐ行うべきことは何か
新規記事を増やすのではなく、既存ページの中から成果が出ていないものを特定し、優先して直すことです。Googleも、スターターガイドの中では魅力的で役立つコンテンツづくりが最も有効だとしています。 まずは公開済みのページを見直すところから始めましょう。アクセスはあるのに問い合わせにつながっていないページが、最初に手をつける対象です。
Q2. 専任のマーケ担当がいなくてもSEO対策は続けられるか
続けられます。Googleも小規模なローカルビジネスの経営者はおそらく作業の多くを自分で行えるとしたうえで、「SEO スターター ガイドから始めることをおすすめします」と示しています。 リサーチや構成案づくりを生成AIに任せることが、兼任1名でも時間を確保する現実的な方法です。ただし現場で見た事実にあたる部分は、経営者自身にしか書けません。
Q3. 中小企業のSEO対策にかかる費用相場はどのくらいか
公的な統計として費用相場を示すデータは確認できませんでした。判断材料としては、Googleが示す9つの質問(過去の実績・基本事項への準拠・結果の時期など)を業者に確認する方法が実践的です。 金額の大小だけで判断しないことが欠かせません。答えの具体性を見れば、専門知識がなくても妥当性はある程度つかめるはずです。
Q4. SEO対策の効果が出るまでどのくらいかかるか
Googleは「一般的には、数週間待ってから Google 検索の検索結果に良い影響があったかどうか確認することをおすすめします」としています。変更内容によっては数か月かかることもあるため、焦らず一定期間待ちたいところです。 数日で順位が動かないからと施策を戻してしまうと、判断材料そのものが失われます。何をいつ変えたかを記録に残しておけば、後から効果を検証できる状態です。
Q5. SEO対策に取り組まないほうがよい中小企業はあるか
あります。検索需要がほとんどない商材、指名検索や紹介だけで商圏が回っている状態、投資回収に見合う粗利や時間がない場合は、SEO対策の優先度を下げてよいケースです。 他の集客施策と比較したうえで判断する視点が欠かせません。展示会や紹介のほうが早く成果に届く事業も実際にあります。取り組まないと決めることも、限られた時間を守るという意味では立派な判断です。
出典:Google検索セントラル|SEO 業者の利用を検討する 出典:Google検索セントラル|検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド
まとめ:優先順位を決めて、限られた時間で中小企業のSEOを進めよう
中小企業のSEO対策は、記事の本数を増やすことではなく、既存ページの中から成果に直結する優先順位を決めることから始まります。Googleがスターターガイドの中で最も有効だとしているのも、魅力的で役立つコンテンツづくりです。情報収集や構成案づくりは生成AIに任せられますが、現場で見た事実に基づく一次情報は経営者自身にしか書けません。取り組まないという判断も、限られた時間を守るうえでは有効な選択肢です。まずは自社の既存ページの中で、成果が出ていない1本を選んで見直すところから始めましょう。
①一般論としては「記事数を増やせば流入は増える」と語られやすいものです。②あるBtoB製造業のオウンドメディア支援では、月間の公開本数を追っていた時期に問い合わせ数が横ばいのまま記事だけが80本を超え、その後新規公開を止めて反応の薄い既存ページ十数本のタイトルと内部リンクを直したところ、問い合わせ数が動き出しました。③見るべきは本数ではなく、どのページが成果に直結していないかを特定する作業だと考えています。