初回相談は無料/月額5万円から。SEO・オウンドメディア・生成AI活用のご相談を承っています。
無料相談
  • ホーム
  • コラム
  • 広告代理店にSEOを任せる前に確認したい、責任の所在と商流

広告代理店にSEOを任せる前に確認したい、責任の所在と商流

SEO 公開:2026.08.12 更新:2026.08.16
広告代理店にSEOを任せる前に確認したい、責任の所在と商流のアイキャッチ画像
合同会社ワンブリマーケティング 代表 星野和大
執筆
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表

オウンドメディアを自ら立ち上げて売却し、SEOスタートアップの創業メンバーとしてメディアのグロースに従事。事業会社でのマーケティング、フリーランスとしての戦略立案を経て現職。生成AI領域では国内最大の生成AI活用支援コミュニティで講師を務め、企業研修・カンファレンス登壇も多数。

経歴の詳細を見る

広告代理店にSEOを依頼したいけれど、責任の所在や商流がよく分からず不安に感じていませんか。外注しても、表示内容の最終的な責任は発注者側に残る仕組みになっています。本記事では、広告代理店という業態がどのような制度の中に置かれているかを、産業分類・許認可・景品表示法・取適法・公的統計から確認します。読み終える頃には、依頼前に何を確認すべきか判断できるはずです。

「広告代理店」は日本標準産業分類でどう定義されているか

大分類Lから中分類73(広告業)→小分類731→細分類7311への階層を縦に示し、右側に内容例示を○(総合広告業・広告代理業・インターネット広告業)と×(広告制作業・コピーライター業・デザイン業)の2列で対比した図

「広告代理店」という呼び方には、日本標準産業分類という公的な分類上の裏づけがあります。制作会社との技術的な線引きは「ホームページ制作会社にSEOはどこまで頼める?守備範囲の線引きを解説」ですでに扱いました。本記事はその一歩先、広告代理店にSEOを委託したときの商流と責任の所在を、制度の原文から確認していきます。

広告業は大分類L・中分類73・細分類7311に位置づけられる

日本標準産業分類の中分類73「広告業」について、総務省は次のように説明しています。「この中分類には、主として依頼人のために広告に係る総合的なサービスを提供する事業所及び広告媒体のスペース又は時間を当該広告媒体企業と契約し、依頼人のために広告する事業所が分類される。」 広告代理店という呼称は、ここに根拠を持つ言葉です。

内容例示に「広告代理業」「インターネット広告業」が明記されている

細分類7311の内容例示は、含まれるもの(○)として「総合広告業;広告代理業;新聞広告代理業;インターネット広告業」を挙げています。一方、含まれないもの(×)に並ぶのは「広告制作業[4151];コピーライター業[7299];デザイン業[7261]」です。「広告代理業」は日本標準産業分類が公式に使う内容例示語であり、広告代理店という呼び方の裏づけになります。

印刷物の広告制作は別の分類(大分類G・4151)に切り分けられている

印刷物にかかる広告の企画・制作だけを行う事業所は、大分類G「情報通信業」の細分類4151「広告制作業」に分類されます。総務省の定義は「主として印刷物にかかる広告の企画、制作を行う事業所をいう。ただし、依頼人のために広告に係る総合的なサービスを提供する事業所は大分類L-学術研究、専門・技術サービス業[7311]に分類される。」というものです。 広告代理店と制作会社は、統計上も別の枠に置かれています。

星野 和大
執筆者の見解
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表

一般的な相談では「広告代理店」「制作会社」「SEO会社」がほぼ同じ意味で使われがちです。あるBtoB製造業のオウンドメディア支援では、最初の打ち合わせでこの3者を同じ意味で使っていたために、依頼したい業務範囲のすり合わせに時間がかかった経験があります。まずは自分がどの業務範囲を依頼したいのかを言語化してから相談することをお勧めします。

出典:日本標準産業分類(令和5年7月改定)大分類L-学術研究、専門・技術サービス業 説明及び内容例示|総務省日本標準産業分類(令和5年7月改定)大分類G-情報通信業 説明及び内容例示|総務省

広告業に許認可はあるのか——建設業・宅建業・屋外広告業との対比で確認する

建設業=許可制、宅地建物取引業=免許制、屋外広告業=都道府県条例による登録制の3枚のカードを横並びに配置し、それぞれ根拠条文名を添えた比較図。4枚目のカードは総合的な広告代理業として枠のみでグレーの空欄にしている

日本標準産業分類は、令和5年7月に告示された現行版でも、あくまで統計上の区分にすぎないものです。総務省は「日本標準産業分類は、統計の結果を表示するための分類であり、個々の産業を認定するものでありません。」と明記しています。分類に載っていることと、許認可があることは別の話です。 建設業・宅地建物取引業・屋外広告業という3つの業種を例に、許認可の仕組みを比較してみましょう。

建設業は許可制、宅地建物取引業は免許制

建設業法第3条は、建設業を営もうとする者について「都道府県知事の許可を受けなければならない」と定めています。この許可は5年ごとに更新を受けなければ効力を失う仕組みです。 宅地建物取引業法第3条も同様に、宅地建物取引業を営もうとする者に「都道府県知事の免許を受けなければならない」と義務づけており、免許の有効期間もやはり5年です。営業所が複数の都道府県にある場合は、国土交通大臣が許可・免許を出します。

屋外広告業は都道府県の条例で登録制にできる

屋外広告物法第2条は屋外広告業を、屋外広告物の表示や掲出物件の設置を行う営業と定義しています。同法第9条は「都道府県は、条例で定めるところにより、その区域内において屋外広告業を営もうとする者は都道府県知事の登録を受けなければならないものとすることができる。」と定め、広告業の一部には登録制度が存在します。 都道府県ごとに条例で運用される仕組みです。

星野 和大
執筆者の見解
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表

許認可の有無を業者選定の判断材料にしたいという相談は少なくありません。ある中小企業の経営者から、広告代理店にも建設業のような許可制度があるのかと質問を受けたことがありますが、屋外広告業のように条例で登録制が敷かれる領域もあり、一律には答えられないと感じた場面でした。許認可の有無で判断するより、契約書に業務範囲が明記されているかを確認するほうが実務的だと考えています。

出典:建設業法(昭和二十四年法律第百号)第三条|e-Gov法令API宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第三条|e-Gov法令API屋外広告物法(昭和二十四年法律第百八十九号)|e-Gov法令API

ステルスマーケティング規制の仕組み——「表示内容の決定への関与」が判断基準

起点を「事業者(広告主)が表示内容の決定に関与したか」とし、Yes側(関与あり・関与とみなされる関係性がある)は事業者の表示として規制対象、No側(第三者の自主的な意思による表示と認められる)は規制対象外に分岐する判定フロー図

ステルスマーケティング規制は、告示上「令和五年十月一日から施行する」とされた制度です。告示が指定した表示の内容は、「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」です。 まずは誰が規制の対象になるのかを確認していきましょう。

規制対象は「表示を行う事業者(広告主)」——第三者は原則対象外

消費者庁は「規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象とはなりません。」と説明しています。依頼を受けて表示を行う側ではなく、表示内容を決める側(広告主)が規制の対象になる仕組みです。 ただし、広告主と共同して商品を供給していると認められる場合は、インフルエンサー等も規制の対象になり得ます。

判断基準は「事業者が表示内容の決定に関与したか」

運用基準は、事業者の表示に該当するかどうかの判断基準を「事業者が表示内容の決定に関与したと認められる」かどうかに置いています。この一文が、ステマ規制全体の中心的な判断基準です。 具体例として、事業者がアフィリエイターに委託して自らの商品や役務を表示させる場合が挙げられており、依頼の形を取らなくても関与が認定されるケースがあります。

明示的な指示がなくても「関与」とみなされる関係性がある

運用基準は「事業者が第三者に対してある内容の表示を行うよう明示的に依頼・指示していない場合であっても」、事業者が表示内容を決定できる程度の関係性があれば、事業者の表示になり得るとしています。「代理店に任せていたので知らなかった」という説明だけでは、規制の対象から外れない場合があるということです。 判断は、対価の内容ややり取りの態様など、関係性の実態から行われます。

星野 和大
執筆者の見解
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表

PR表記の要否は記事制作の現場でも頻繁に相談されるテーマです。自社の記事制作支援で、これはPR表記が必要かという相談を受けた際は、まず表示内容の決定に自社がどこまで関与しているかを整理するところから始めました。関与の有無を先に言語化しておくと、その後の判断に迷いが少なくなると感じています。

出典:令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。|消費者庁「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準|消費者庁ステルスマーケティングに関するQ&A|消費者庁

管理措置指針が「広告代理店」に与えている位置づけ——委託しても広告主に残る責任

左から「広告主(表示を行う事業者・景表法の名宛人)」から「広告代理店/コンサルティング会社(取引関係事業者・指示を受け確認を求められる立場)」へ委託の矢印、さらに「アフィリエイター」へ再委託の矢印を示し、全体を囲む太い矢印で管理責任が広告主に戻ることを表した商流フロー図

景品表示法第2条第1項は「当該事業を行う者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者は、次項及び第三十六条の規定の適用については、これを当該事業者とみなす。」と定めています。このみなし規定が及ぶのは「次項及び第三十六条」に限られ、不当表示を禁じる第5条には及びません。 代理店も事業者とみなされる、という理解は条文の誤読です。

措置命令の名宛人は「表示をした事業者」——第7条の4類型に代理店は含まれない

景品表示法第7条第1項は、違反があるときの措置命令について「当該事業者に対し、その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができる。」と定めています。措置命令の名宛人は、あくまで表示をした事業者です。 条文が列挙する4類型(違反行為をした事業者・その承継法人等)に、委託先の代理店は含まれていません。

「取引関係事業者」は原則対象外——ただし共同供給の場合は適用を受ける

管理措置指針は、「当該事業者と取引関係はあるが、表示等を行っていない事業者」に対して措置を求めるものではないという立場です。ただし例外があり、「他の事業者と共同して商品又は役務を一般消費者に供給していると認められる場合は、景品表示法の適用を受ける」ともされています。 取引関係があるというだけでは対象外になりますが、共同供給と認められれば話は別です。

管理措置指針は「広告代理店」を委託先として挙げている——確認は広告主に求められる

管理措置指針が「広告代理店」に触れるのは、広告主の確認例を挙げた別添です。そこには「アフィリエイトプログラムを利用した広告を行い、自社の表示の作成に当たり、コンサルティング会社や広告代理店等の他の事業者にプロモーションを委ねる場合、これらの事業者がアフィリエイターに対して、不当表示等を助長するような指示等をしていないかを確認すること。」とあります。 委託先への確認は、広告主自身に求められます。

星野 和大
執筆者の見解
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表

外部に委託すれば表示の責任も一緒に移る、と考えられがちです。あるBtoB製造業のオウンドメディア支援では、公開前の表示内容を発注者側と週次で必ず確認するフローを組み、確認漏れを事前に防げた実感があります。発注者側が最終確認の仕組みを自分で持つことが、外注先の質に関わらず必要だと考えています。

出典:不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)|e-Gov法令API事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針|消費者庁

「下請法」ではなく取適法——広告代理店への委託は再委託構造をどう変えるか

上段に「下請代金支払遅延等防止法(旧・~2025年12月)」から「中小受託取引適正化法/通称:取適法(2026年1月1日~)」への横向き移行バー、下段に「親事業者→委託事業者」「下請事業者→中小受託事業者」の対比バー、最下部に情報成果物作成委託・役務提供委託の資本金基準(5,000万円超⇔5,000万円以下/1,000万円超5,000万円以下⇔1,000万円以下)を示した簡易表

2026年1月1日、下請取引に関する法律の名称が変わりました。公正取引委員会は、法律名が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(略称:中小受託取引適正化法、通称:取適法)となり、施行期日は令和8年1月1日であると案内しています。本記事でも、現在の法律を指すときは「下請法」ではなく取適法と表記します。

「親事業者」「下請事業者」は現行条文の用語ではない

同法第1条は目的を「この法律は、製造委託等に関し、中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等を防止することによつて、委託事業者の中小受託事業者に対する取引を公正にするとともに、中小受託事業者の利益を保護し、もつて国民経済の健全な発達に寄与することを目的とする。」と定めています。現行条文の用語は「委託事業者」「中小受託事業者」であり、「親事業者」「下請事業者」ではありません。

情報成果物作成委託とは何か——文字・図形等で構成されるものが対象になり得る

情報成果物作成委託とは、「事業者が業として行う提供若しくは業として請け負う作成の目的たる情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること」です。情報成果物には「文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合により構成されるもの」が含まれると条文が定義しています。 広告制作物を名指ししているわけではありません。

資本金5,000万円超⇔5,000万円以下等の基準で「委託事業者」になる

情報成果物作成委託・役務提供委託で、条文が委託する側に求めるのは「資本金の額又は出資の総額が五千万円を超える法人たる事業者」であることです。委託される側は、資本金5,000万円以下の事業者と定められています。 これに加えて資本金1,000万円超5,000万円以下の側が1,000万円以下へ委託する区分もあり、常時使用する従業員数100人超という基準も設けられています。

公正取引委員会のQ&Aは広告会社を委託事業者の例として扱っている

公正取引委員会の取適法Q&Aが設問で扱っているのは、「委託事業者である当社(広告会社)が、自社が企画したイベントチケットの販売促進を図ることとし、外注担当者を含めた全社員が販売目標数を定めて販売していた」という事例です。広告会社を委託事業者の一例として想定していることが読み取れます。 契約の相手方が資本金基準に該当するかどうかは、案件ごとに確かめておきましょう。

星野 和大
執筆者の見解
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表

契約書の文言は、法改正があってもそのまま使い回されがちです。ある企業の委託契約書を確認した際、法律名が旧法のままだった実例に遭遇し、資本金基準の記載とあわせて修正が発生したことがあります。委託契約を結ぶ際は、法令名と資本金基準を都度確認することをお勧めします。

出典:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律|e-Gov法令API取適法|公正取引委員会よくある質問コーナー(取適法)|公正取引委員会

広告業の実態を統計で確認する——事業所数・売上高・BtoB比率

「事業所数9,085」「従業者数121,380人」「売上高8兆3,278億円」の3枚のデータカードを横並びに配置し、下段に「収入相手先:個人以外98.5%」を強調するミニカードを追加、各カード下に時点注記(2021年6月1日現在/売上高は2020年1年間)を添えた図

広告業がどれくらいの規模の業界かを、公的統計から確認しましょう。令和3年経済センサス‐活動調査は、2026年8月12日時点で広告業に関する最新の公的統計です。限られたリソースで何から手を付けるべきかは、「中小企業のSEO対策は何から始める?優先順位と時間の使い方を解説」で扱いました。 まずは業界全体の輪郭を数字で押さえておきます。

広告業は9,085事業所・従業者121,380人

令和3年経済センサス‐活動調査によると、2021年6月1日現在、広告業(中分類73)の事業所数は9,085事業所、従業者数は121,380人です。この数字は、学術研究・専門・技術サービス業という大分類全体(事業所数222,094・従業者数1,682,904人)の一部にすぎません。 広告業は、その中でも従業者数で7.2%を占める業種です。

売上高8兆3,278億円、1事業所当たり9億円超

同調査によると、広告業の売上高は8兆3,278億800万円で、1事業所当たり9億1,665万円、従業者1人当たり6,861万円です。ただし売上高は2020年1年間の数値であり、事業所数・従業者数の基準日(2021年6月1日)とは時点が異なります。 1事業所当たりの規模は、大分類L内でも突出して大きいのが特徴です。

収入相手先の98.5%が個人以外——広告業はほぼBtoB産業

同調査では、広告業が収入を得た相手先の割合は個人(一般消費者)が1.5%、個人以外が98.5%となっています。公的統計から見ても、広告業はほぼ完全なBtoB産業です。 発注者が法人であれば、意思決定に関わる人数も検討にかかる期間も、個人向けの商材とは変わってきます。個人向けの訴求文言をそのまま流用しても響きにくいのは、この構造が理由です。

星野 和大
執筆者の見解
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表

広告業界は法人向けが当たり前という感覚は、実務者には自然でも発注側には意外と伝わっていないものです。ある製造業の支援先では、問い合わせのほとんどが法人からで、個人向けの訴求文言をそのまま使った施策の反応が鈍かった経験があります。BtoB産業だという前提を、訴求文言の段階から意識しておくことをお勧めします。

出典:令和3年経済センサス‐活動調査 産業別集計(サービス関連産業に関する集計)結果の概要|総務省・経済産業省

広告費と検索シェアの実態——情報通信白書の記述と「9割」という通説のズレ

左に「PC検索シェア」の縦棒2本(Google47.5%・Bing46.9%を同程度の高さで対比)、右に「インターネット広告費4兆459億円」のカード(下に出典:電通調査を基に情報通信白書が掲載、と注記)を配置し、脚注にスマホ・タブレットはGoogleが7割以上であることを添えた対比図

令和8年版情報通信白書は「2025年にはインターネット広告が4兆459億円となった一方」と記述しています。この数値の出典は国の統計ではなく、電通「Knowledge & Data 2025年 日本の広告費」を基に作成された民間調査です。 白書が電通の調査を基に掲載している、という二段階の構造を押さえておきましょう。

インターネット広告費4兆459億円は電通調査を基に白書が掲載

白書はマスコミ4媒体について「広告は2兆2,980億円と減少傾向にあり、両者の広告費が初めて逆転した2021年以降、その差が広がっている」と記述しています。マスコミ4媒体広告(テレビメディア・新聞・雑誌・ラジオ)は、インターネット広告に2021年以降差を広げられ続けている状況です。 出典は変わらず電通の調査であり、公的統計ではありません。

日本のPC検索シェアはGoogle47.5%・Bing46.9%で拮抗——「9割」という通説とのズレ

白書は「日本では、2026年3月時点において、スマートフォン及びタブレットではGoogleが7割以上を占め、最も高いシェアを誇る。また、パソコンではGoogleが47.5%、Bingが46.9%と、Bingのシェアが拡大傾向にある。」と記述しています。「日本の検索エンジンシェアはGoogleが9割」という通説とは、パソコンに関する限り開きがあるということです。

星野 和大
執筆者の見解
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表

「日本はGoogleがほぼ独占」という前提で施策を組んでしまう場面は少なくありません。自社の検証でPC経由の流入を分析した際、想定よりBingの構成比が高い案件があり、対応の優先順位を見直しました。PC中心のBtoB商材では、Bing対応も軽視すべきではないと考えています。

出典:令和8年版 情報通信白書 第Ⅱ部第1章第3節 放送・コンテンツ分野の動向|総務省令和8年版 情報通信白書 第Ⅱ部第1章第7節 ICTサービス及びコンテンツ・アプリケーションサービス市場の動向|総務省

広告代理店にSEOを依頼する前にGoogle公式ガイダンスで確認すべきこと

「①順位を保証していないか/②Search Consoleの権限は読み取りのみか/③過去の作業サンプル・成功事例を提示できるか/④リンク施策にnofollow・sponsoredの区別があるか」の4項目をチェックボックスUIで並べた契約前チェックリスト型の図

Google公式は「Google 検索でウェブサイトの検索エンジン最適化(SEO)を依頼する会社や個人を選ぶことは、サイトの視認性を高め、時間を節約できる可能性がある一方で、サイトや運営者の信用が損なわれるおそれもある重大な決定です。」と述べています。「多くの SEO 業者や代理店、コンサルタント」という言い方は、Google公式の文書そのものに出てくる表現です。

広告出稿は検索結果の表示に影響しない——順位保証をうたう業者には注意

Google公式は「Google で広告を掲載しても、検索結果でのサイトの表示状況には影響しません。Google は、検索結果でのサイトの表示または掲載順位に関して金銭を受け取ることは一切ありません。」と明言しました。同じ文書は「Google で一番上に掲載されることは誰にも保証できません。」とも記しており、順位保証をうたう業者には慎重な姿勢で臨みたいところです。

契約前にSearch Consoleは読み取り権限のみ付与する

Google公式は「SEO 業者から SEO 監査の提案を受けた場合は、その内容を慎重に検討し、Search Console への読み取り権限のみを付与してください(この段階では書き込み権限は付与しないでください)。」としています。過去の作業サンプルや成功事例、Google検索の基本事項への準拠についても、契約前に質問しておくべき項目です。

外部に委託しても最終責任はサイト運営者に残る

Google公式は「SEO 業者が有益なサービスをクライアントに提供する一方で、一部の非道徳的な SEO 業者による非常に強引な宣伝や、Google のスパムに関するポリシーに違反する手法の使用が業界の信用を損なってきました。」と述べています。場合によっては、Googleのインデックスからサイトが削除されることさえあります。 どの業者を選ぶかは、最終的にサイト運営者の責任です。

リンクの売買は一律違反ではない——広告目的でnofollow・sponsoredを付ける

Googleは「リンクスパムとは、検索ランキングを操作することを主な目的として、サイトへのリンクやサイトからのリンクを作成する行為です。」としつつ、「リンクの売買も、広告やスポンサー活動を目的として行われる限り、ウェブ上での通常の経済活動の一環だということを理解しています。」とも述べています。 この違いを分けるのが、rel=”nofollow”やrel=”sponsored”の設定です。

星野 和大
執筆者の見解
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表

代理店の選定ではチェックリストが重視されがちですが、権限設定まで見られることは多くないものです。他社のSearch Console権限設定を確認する機会があった際、書き込み権限が不要に付与されたままになっている例を見たことがあります。権限は必要最小限に留め、読み取りのみから始めることをお勧めします。

出典:SEO 業者の利用を検討する|Google 検索セントラルサードパーティの SEO ツール、サービス、アドバイスの使用に関する Google 検索のガイダンス|Google 検索セントラルGoogle ウェブ検索のスパムに関するポリシー|Google 検索セントラル

広告代理店にSEOを任せる前に、発注者側で整理しておくべきこと

①業務範囲の明記→②表示確認フローの設置→③契約書の法令名・基準確認、を横並びの3ステップ矢印で示し、各ステップの下に対応する見出し番号(h2-1/h2-4/h2-5)を添えたチェックリスト型の図

ここまで、産業分類・許認可の対比・景表法・取適法・公的統計や白書の記述・Google公式ガイダンスという6つの観点から確認してきました。発注する側が委託前に整理しておくべきことは、大きく3点に絞られます。 検索する人と決める人が違う場面での視点は、「BtoBのSEOとBtoCの違いとは?検索者と決裁者のズレから解説」でも扱いました。

依頼する業務範囲を委託契約に明記する——「取引関係事業者」としての役割を確認する

広告業と広告制作業が統計上も別カテゴリに分かれているように、代理店に依頼したい業務範囲は人によって解釈が揺れやすいものです。「取引関係事業者」として扱われるのか、表示の作成そのものを担うのかによって、求められる確認事項も変わります。 記事の制作までなのか、公開後の効果測定まで含むのか、線引きを言葉にして委託契約へ書き込んでおくことが最初の一歩です。

表示内容の最終確認フローを自社側に残す

管理措置指針は、委託先への指示・確認を広告主自身に求めています。外部に委託しても、表示内容を最終的に確認する役割は発注者側から離れません。 Google検索セントラルも、どの業者に依頼するかの判断はサイト運営者側に残ると説明しました。公開前に自社で表示内容を通す工程を残しておけば、委託先が替わっても品質の基準は動きません。

契約書の法令名・資本金基準を確認する

2026年1月1日の施行で、下請取引に関する法律の名称と用語が変わりました。契約書に「下請法」「親事業者」「下請事業者」という旧用語が残っていないか、資本金基準に照らして自社がどちらの立場かを確認しておきましょう。 情報成果物作成委託・役務提供委託の場合は、5,000万円という基準が目安になります。締結済みの契約書についても、更新のタイミングでまとめて表記を洗い直すのが手戻りの少ない進め方です。

星野 和大
執筆者の見解
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表

制度を知っても実務に落とし込めなければ意味がありません。委託前の確認リストを作成して運用した支援先では、業務範囲の齟齬によるトラブルを未然に防げた実感があります。契約前のチェックリスト運用を、ぜひ取り入れてみてください。

出典:本記事内で扱った各出典(消費者庁・公正取引委員会・総務省・Google 検索セントラル)を参照

合同会社ワンブリマーケティングについて

合同会社ワンブリマーケティングは、SEO・オウンドメディア運用・生成AI活用支援を専門とする企業です。広告代理店にSEOを任せてよいか判断がつかない、本記事のように制度や一次情報を踏まえたサイト運営を必要とする事業者を中心に、キーワード設計から記事制作、運用体制の設計までを支援しています。 自社に合った進め方を相談したい方は、お問い合わせからご連絡ください。

広告代理店とSEOについてよくある質問

Q1. 広告代理店にSEOを依頼すると、景品表示法の対象になりますか?

景品表示法の措置命令の名宛人は、原則として「表示をした事業者(広告主)」です。代理店との取引関係があるというだけで対象になるわけではありません。 ただし、他の事業者と共同して商品や役務を供給していると認められる場合は、代理店側も適用を受け得ます。個別の関与の実態によって判断が変わる点に注意してください。

Q2. 広告代理店への外注は「下請法」の対象になりますか?

2026年1月1日の施行で、法律名は中小受託取引適正化法(通称:取適法)に変わりました。公正取引委員会のQ&Aは、広告会社を委託事業者の例として扱う設問を掲載しています。 資本金基準に照らして自社がどちらの立場になるか、契約前に確認しておきましょう。条文上の用語も「委託事業者」「中小受託事業者」に変わっており、旧法の文言をそのまま流用した契約書は呼び方が食い違ったままです。

Q3. SEOに強い広告代理店かどうかは何を基準に判断すればいいですか?

Google公式は、過去の作業サンプルや成功事例、Google検索の基本事項への準拠などを質問例として挙げています。SEO監査の提案を受けた段階では、Search Consoleの権限は読み取りのみにとどめることも推奨されています。 順位を保証する、あるいはGoogleとの特別な関係を強調するといった説明が出てきた場合は、いったん立ち止まって判断しましょう。

Q4. 広告代理店とホームページ制作会社は何が違いますか?

日本標準産業分類上、広告に係る総合的なサービスを提供する広告業と、印刷物にかかる広告の企画・制作を行う広告制作業は、別のカテゴリに分類されています。制作会社との技術的な線引きは、ホームページ制作会社の守備範囲を扱った既刊記事で詳しく解説したとおりです。 依頼したい業務範囲によって、確認すべき点も変わります。

Q5. 広告代理店にSEOを外注すると、検索順位を保証してもらえますか?

Google公式は「Google で一番上に掲載されることは誰にも保証できません。」と明言しました。掲載順位を保証すると主張する業者とは、契約前に距離の取り方を考えたいところです。 「変更を行うことで、検索結果の最初のページに必ず表示されるようになります」といった説明が出てきた場合、Google公式は他のSEO業者を探すよう促しています。順位ではなく、実施する施策の中身で判断しましょう。

まとめ:広告代理店とSEOの責任範囲を理解して依頼しよう

広告代理店にSEOを任せても、表示内容の最終的な責任は発注者(広告主)側に残る構造になっています。消費者庁の管理措置指針が「広告代理店」を名指しするのは、委託先への指示・確認を広告主に求める場面です。 2026年1月施行の取適法により委託先の呼び方も変わり、Google公式も最終責任はサイト運営者側にあると明言しています。委託契約の業務範囲・表示確認フロー・契約書の法令名を、依頼前に自社側で点検してみましょう。

星野 和大
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表
オウンドメディアを自ら立ち上げて売却し、SEOスタートアップの創業メンバーとしてメディアのグロースに従事。事業会社でのマーケティング、フリーランスとしての戦略立案を経て現職。生成AI領域では国内最大の生成AI活用支援コミュニティで講師を務め、企業研修・カンファレンス登壇も多数。
経歴の詳細を見る

自社の場合はどうか、一緒に見ます

初回相談は無料です。現状を伺い、何から着手すべきかを整理します。