飲食店のSEO対策で、MEOや口コミ対策ばかりを追いかけていませんか。飲食店には景品表示法のメニュー表示ガイドラインや受動喫煙対策の表示義務など、一般的な解説記事が触れない一次情報が数多くあります。市場構造の正しい読み方から表示規制、Googleのローカル検索まで、一次ソースをもとに整理する内容です。読み終えれば、自店のサイト表現を根拠つきで判断できるようになります。
飲食店にSEO対策が必要な理由——「全国◯万店」を語る数字は実は3つある

飲食店のSEO対策を検討するとき、まず気になるのが競合の数ではないでしょうか。しかし「日本の飲食店は全国に何店あるのか」という素朴な問いに、実は答えとなる統計が3つ存在し、それぞれ数字が大きく異なります。 どの数字を根拠にするかによって、市場規模の説明そのものが変わってしまうのが実情です。まずはこの3系統を順番に確認していきます。
改正食品衛生法ベースの許可施設数は946,451施設(令和6年度末)
厚生労働省「衛生行政報告例」によると、令和6年度末現在の飲食店営業の許可施設数は946,451施設です。ただしこれは「許可の数」であって「店舗の数」ではありません。 次に見る旧法ベースの内訳では旅館も飲食店営業として計上されており、一般にイメージする「飲食店」より広い範囲を含む点が特徴です。統計上の呼称は「営業施設数」であり、本記事でもこの言い方を踏襲します。
- 「 第3表-1 改正食品衛生法に基づく許可を要する食品関係営業施設数・許可・廃業施設数・処分・告発件数・調査・監視指導施設数,営業の種類別」
旧食品衛生法ベースの488,162施設——両者は絶対に合算できない
同じ調査には、経過措置で残る旧食品衛生法ベースの「飲食店営業」も別表で計上されており、令和6年度末現在で488,162施設です。この2つの表は同じ「飲食店営業」を別々の根拠法で数えているため、単純に足し合わせて「合計約143万施設」と語ることはできません。 旧法側の内訳には一般食堂・レストラン等266,065施設や旅館14,911施設も含まれ、許可数が店舗の実感とずれる理由を具体的に示しています。
「約43万店」と言うなら経済センサスの430,360事業所(2021年6月1日現在)——なぜ古いデータを使うのか
実店舗の感覚に近い数字は、経済センサス‐活動調査の中分類「飲食店」による430,360事業所(2021年6月1日現在)です。より新しい令和6年経済センサス‐基礎調査もありますが、この調査は「雇用者のいない個人経営の事業所」を対象外としており、過去の経済センサスとは調査対象範囲が異なるため比較できません。 本記事では、この理由を踏まえたうえで、あえて2021年時点のデータを時点を明記して使用します。
- 「令和6年経済センサス‐基礎調査(甲調査)は、「雇用者のいない個人経営の事業所」を調査対象としておらず、令和3年経済センサス‐活動調査や令和元年経済センサス‐基礎調査を始めとした過去の経済センサスとは調査対象範囲が異なっているため、比較には留意が必要である。」
出典:令和6年度(2024年度)衛生行政報告例【食品衛生】第3表-1|厚生労働省(e-Stat)、令和6年度(2024年度)衛生行政報告例【食品衛生】第1表-1|厚生労働省(e-Stat)、令和3年経済センサス‐活動調査 産業別集計(サービス関連産業に関する集計)結果の概要|総務省・経済産業省、令和6年経済センサス‐基礎調査(民営事業所)確報集計結果|総務省統計局
飲食店の売上の9割超は個人客——ポータル依存とオウンドサイトの役割

飲食店の顧客が実際どこから来ているのか、ここで確認しておきます。ホームページ制作会社にSEOはどこまで頼める?守備範囲の線引きを解説で扱った外注範囲の考え方は、飲食店にもそのまま当てはまります。ECサイトのSEO対策は何が違う?自社ECとモール出店の構造から解説で見たモール出店と自社ECの関係は、グルメポータルと自店サイトの構造とも相似形です。
飲食店の売上の94.1%は個人(一般消費者)から——2020年の数値
経済センサス‐活動調査によると、2020年の1年間で飲食店が得た売上のうち94.1%は個人(一般消費者)からのものでした。この数字は、飲食店SEOがBtoCの検索行動に直結することの一次根拠になります。 ただし2020年は新型コロナウイルス感染症の影響下にあった特殊な1年であるため、「飲食店の平均売上は3,027万円」のように現在形で断定するのは早計です。
グルメポータルに任せきりでよいのか——自社サイトが担う役割
Googleのローカル検索は「関連性・距離・知名度」の3要素で決まり、知名度には「ビジネスにリンクしているウェブサイトの数」も含まれます。ポータルサイトに掲載情報を委ねきると、産地や衛生管理といった自店から発信すべき一次情報が薄くなりがちです。 ただし「被リンクを増やせば順位が上がる」と単純化できるものではなく、グルメポータルと自社サイトはあくまで役割分担の関係にあります。
- 「知名度とは、ビジネスがどれだけ広く知られているかを指します。知名度の高い場所ほど、検索結果に表示される可能性が高くなります。この要素は、ビジネスにリンクしているウェブサイトの数やクチコミの数などの情報にも基づいています。クチコミ数が多く評価の高いビジネスは、ローカル検索結果のランキングが高くなります。」
出典:令和3年経済センサス‐活動調査 産業別集計(サービス関連産業に関する集計)結果の概要|総務省・経済産業省、Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント|Google ビジネス プロフィール ヘルプ
景品表示法に「メニュー表示専用の考え方」がある——メニューはすべて同法の対象

飲食店のSEOで見落とされがちなのが、メニューやサイトの表現そのものを規律するルールです。整体院のSEO対策|広告規制の範囲と症状表現の注意点を解説では業種固有の広告ガイドラインを扱いましたが、飲食店には消費者庁が作成したメニュー表示専用のQ&Aガイドラインが存在します。 まずはその位置づけから見ていきましょう。
景品表示法第5条第1号は優良誤認表示を禁止している
不当景品類及び不当表示防止法第5条第1号は、実際より著しく優良であると示す表示(優良誤認表示)を業種を問わず禁じています。この条文は飲食店だけを対象にしたものではなく、あらゆる事業者の取引に適用される一般法です。 メニューやサイトの表現を検討する際は、まずこの一般法が土台にあることを押さえておく必要があります。
- 「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」
消費者庁はメニュー・料理等の表示について専用の考え方を示している——インターネットも対象
消費者庁「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」は、ホテル・百貨店・レストラン等が提供するメニュー・料理等の表示はすべて景品表示法の対象だとする内容です。インターネットも対象範囲に明記されているため、飲食店のウェブサイトに書く文章も同ガイドラインの射程に入ります。 店内・店頭のメニューだけでなく、サイト上の説明文も同じ基準で判断される点を押さえておきましょう。
- 「事業者が商品・役務の供給の際に顧客を誘引するために利用するあらゆる表示が対象であり、容器・包装上のものだけではなく、パンフレット、説明書面、ポスター、看板、インターネットをはじめとして、対象範囲はあらゆるものに及ぶ。口頭によるものも表示に該当する。したがって、店内・店頭のメニューや料理名の表示、陳列物、説明も表示に該当し、景品表示法の対象となる。」
ただし特定の用語を一律に禁止するものではない——歯止めの原則
同ガイドラインは、特定の用語や文言の使用を一律に義務付けたり禁止したりするものではなく、景品表示法上問題となるか否かはあくまで個別の事案ごとに判断される、という整理です。「この言葉は使ってはいけない」という単純な禁止リストは存在しません。 判断基準は表示全体から一般消費者が受ける印象と実際との差であり、表示した側の故意・過失は問われません。次章のQ&Aは、この歯止めとセットで読み進めてください。
- 「上記のとおり、景品表示法は、特定の用語、文言等の使用を一律に義務付けたり、禁止したりするものではなく、景品表示法上問題となるか否かは、あくまで個別の事案ごと、具体的な表示ごとに判断されます。」
- 「なお、この際に、不当な表示を行った者の故意・過失は問わない。」
出典:不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)|e-Gov法令API、メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について|消費者庁
「自家製」「手打ち」「地域名」「鮮魚」——景品表示法Q&Aが示す判断基準

前章で見た歯止めを踏まえたうえで、消費者庁のガイドラインが実際にどう判断しているのかを、具体的なQ&Aで確認していきます。「自家製」「手打ち」「地域名」「鮮魚」は、いずれも飲食店SEOのキーワードとして頻出する言葉です。 どれも料理の魅力を伝える表現であり、使うこと自体が否定されているわけではありません。実態との一致という共通の基準を、4つの事例で確かめていきましょう。
「自家製パン」は市販品なら問題となる
消費者庁ガイドラインのQ&Aは、市販品のパンを提供しているのに「自家製パン」と表示する事例を取り上げ、問題となる旨を示しています。「自家製パン」という表示から、消費者は一般に店舗で一から作り上げたパンを想像するためです。 「自家製ソース」「自家製麺」等、SEOで頻出するキーワードほど、表示する前に実態を確認しておく必要があります。
- 「「自家製パン」との表示から、一般消費者は、一般的には、その店舗で一から丁寧に作り上げたパンが提供されていると認識するものと考えられます。」
- 「市販品のパンが使用されているにもかかわらず、「自家製パン」と表示することは、実際と異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。」
「手打ち麺」は機械打ちなら問題となる
同ガイドラインは、機械打ちで手作業が加わっていない麺に「手打ち麺」と表示する事例についても、実際と異なる表示に当たる、という位置づけです。「手打」という語の定義自体は景品表示法ではなく公正競争規約にあり、消費者庁のガイドラインが直接定めているわけではありません。 それでも判断の物差しは同じで、表示と実態が一致しているかどうかが問われる仕組みです。
- 「このため、機械打ちによる麺で、手作業が加わっていないものが使用されているにもかかわらず、手打ち麺を使用している旨をメニュー等に表示することは、実際と異なる表示をしていることになります。したがって、このような表示は、景品表示法上問題となります。」
「△△(地域名)野菜使用」は実態が伴わなければ問題となる
地域名を冠した野菜の表示についても、実際にはそれ以外の野菜を多く使用している場合は問題となるとされています。表示から消費者が受け取る「その地域の野菜が主体である」という印象と、実際の使用実態にずれがあるかどうかが判断の分かれ目です。 この地域名の扱いは、後述するSEOのキーワード施策とも密接に関わってきます。
- 「「△△(地域名)野菜使用」との表示から、一般消費者は、△△(地域名)野菜のみが使用されている、又は△△(地域名)で生育・収穫された野菜のみが使用されていると認識するか、少なくとも使用している野菜の多くが△△(地域名)野菜か△△(地域名)で生育・収穫された野菜であると認識するものと考えられます。」
「鮮魚」単体は適正、「港で採れたて」等の強調は実態次第——同じ設問で対比されている
解凍した魚への「鮮魚」という表示自体は、直ちに問題になるものではないという扱いです。一方で「港で採れたて」「今朝市場で買い付けた」等、新鮮さを強調する表示を重ねた場合は、実態と異なれば問題となります。 「新鮮」「採れたて」「朝獲れ」はSEOの集客コピーで定番の表現だけに、言葉そのものではなく強調の度合いと実態の一致が基準になることを示す好例です。
- 「解凍した魚をその料理に使用している場合に「鮮魚」と表示しても、このことによって直ちに景品表示法上問題となるものではありません。」
- 「しかしながら、例えば、「鮮魚」という文言に加えて、又はこれに替えて、メニューや店内の表示において、「港で採れたて」、「今朝市場で買い付けた」などと使用している魚の新鮮さについて強調した表示をすると、あたかも、通常の方法で鮮度が維持された魚よりも新鮮な魚を使用しているかのように一般消費者に認識されると考えられます。」
出典:メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について|消費者庁
外食に食品表示の義務は及ばない——ただし例外が1つだけある

飲食店のサイト運営では、「アレルギー表示は義務なのか」という疑問がよく生まれます。結論から言うと、外食には食品表示の義務は及びませんが、例外はただ1つです。 義務の有無を曖昧にしたまま運用すると、本来書くべき情報まで落としてしまいかねません。食品表示基準の条文と、消費者庁が飲食店に求めている姿勢を、順に確認していきます。
食品表示基準は「設備を設けて飲食させる場合」に適用されない
食品表示基準第1条は、加工食品又は生鮮食品を設備を設けて飲食させる場合には、第40条の規定を除き適用しないと定める条文です。「外食」という語は条文自体には出てきませんが、これが飲食店に食品表示義務が及ばない根拠になります。 「第四十条の規定を除き」という一文を読み落とすと、外食には表示義務が一切ないという誤解を招く典型例です。
- 「この府令は、食品関連事業者等が、加工食品、生鮮食品又は添加物を販売する場合について適用する。ただし、加工食品又は生鮮食品を設備を設けて飲食させる場合には、第四十条の規定を除き、適用しない。」
唯一の例外は生食用牛肉の注意喚起表示(第40条)
食品表示基準第40条は、生食用牛肉を容器包装に入れずに販売する場合、食中毒のリスクがある旨や、子供・高齢者等は生食を控えるべき旨を、店舗の見やすい場所に表示するよう定めています。これは前項の原則とセットでしか意味を持たない、唯一の例外規定です。 「店舗の見やすい場所」への表示が求められているのであって、ウェブサイトへの掲載までは義務づけられていません。
- 「一般的に食肉の生食は食中毒のリスクがある旨」
- 「子供、高齢者その他食中毒に対する抵抗力の弱い者は食肉の生食を控えるべき旨」
義務ではないが、積極的なアレルギー情報の提供が求められている
消費者庁ガイドラインは、食品表示法の義務付けが飲食店等のメニュー表示に直接適用されるものではないとしながらも、アレルギー表示は安全性に関する情報として極めて重要だという立場です。「義務ではない」ことと「情報提供が求められている」ことは、セットで理解する必要があります。 法的義務の有無にかかわらず、自店サイトにアレルゲン情報を置くことは信頼性の面でも意味を持ちます。
- 「この義務付けは、飲食店等のメニュー表示には直接適用されるものではないものの、アレルギー表示といった食品を摂取する際の安全性に関する情報を適切に消費者に伝えることは極めて重要です。」
- 「これらを考慮して、景品表示法上問題となるかどうかにかかわらず、飲食店等においても、アレルゲンを含む原材料の把握に努めるとともに、調理現場におけるコンタミネーション(意図せざる混入)の状況を踏まえた上で、積極的に、アレルギー表示を行ったり、料理の注文を受ける際にアレルギーの有無を確認するなど、食物アレルギー疾患を有する方に対する情報提供を充実することが求められます。」
特定原材料は2026年4月にカシューナッツが加わり9品目に
消費者庁は2026年4月1日に特定原材料としてカシューナッツを追加し、現行の特定原材料は「えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生」の9品目になりました。「特定原材料8品目」と紹介する情報は、この改正で古くなっています。 ただしこの表示義務は容器包装された加工食品に課されるものであり、飲食店のメニューには及びません。「飲食店は9品目を表示する義務がある」という読み方は誤りです。
- 「2026年4月1日 特定原材料として、カシューナッツを追加しました。」
- 「えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生」
出典:食品表示基準(平成二十七年内閣府令第十号)|e-Gov法令API、食物アレルギー表示に関する情報|消費者庁、アレルギー表示とは(令和8年4月時点)|消費者庁、メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について|消費者庁
喫煙可能室のある店には「広告時の明示義務」がある——受動喫煙対策とサイト表示

受動喫煙対策というと、店内の設備の話に限られると思われがちです。実は「広告・宣伝をするとき」に関わる明示義務も存在します。 飲食店SEOの記事でこの論点に触れているものはほとんどありません。自店サイトの表記をどう書くかという実務にも直結する話です。原則・標識・広告・経過措置・罰則の順に、条文を1つずつ確認していきます。
健康増進法第29条により飲食店(第二種施設)は原則屋内禁煙
健康増進法第29条は、特定施設等における喫煙を、区分ごとに定めた場所(喫煙禁止場所)以外では禁じています。受動喫煙の実体規定は第29条であり、国及び地方公共団体の責務を定めた第25条とは異なる条文です。 改正法は2020年4月1日に全面施行され、厚生労働省の案内では飲食店を含む第二種施設について「原則屋内禁煙」と説明されています。ただし喫煙を主目的とする施設に当たらないことが前提です。
- 「何人も、正当な理由がなくて、特定施設等においては、次の各号に掲げる特定施設等の区分に応じ、当該特定施設等の当該各号に定める場所(以下この節において「喫煙禁止場所」という。)で喫煙をしてはならない。」
- 「原則屋内禁煙です。」
標識掲示義務と20歳未満の立入禁止
喫煙専用室等を設ける場合、出入口の見やすい箇所に喫煙専用室標識を掲示する義務があります。20歳未満の方は、喫煙を目的としない場合であっても喫煙エリアへの立ち入りが一切禁止されており、従業員であっても例外ではありません。 標識の掲示や年齢確認の運用が不十分な店ほど、次に見る広告時の明示義務も見落とされがちです。
- 「20歳未満の方については、たとえ喫煙を目的としない場合であっても、喫煙エリアへは一切立入禁止となります。たとえ従業員であっても立ち入らせることはできません。」
広告・宣伝をするときの明示義務——ウェブサイトへの断定は避ける
改正健康増進法の附則第2条第4項と健康増進法第35条第8項は、喫煙可能室・喫煙目的室を設ける施設の管理権原者等に、営業の広告又は宣伝をするときその旨を明らかにするよう義務づけています。条文は媒体を限定しておらず、自店サイトも「広告又は宣伝」に当たり得るため、喫煙可否の記載は検討に値するポイントです。 ただし「ウェブサイトに書く義務がある」と断定できる一次資料は確認できていません。
- 「喫煙可能室設置施設の管理権原者等(新法第三十条第一項に規定する管理権原者等をいう。次項並びに次条第二項及び第三項において同じ。)は、当該喫煙可能室設置施設の営業について広告又は宣伝をするときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該喫煙可能室設置施設が喫煙可能室設置施設である旨を明らかにしなければならない。」
- 「喫煙目的室設置施設の管理権原者等は、当該喫煙目的室設置施設の営業について広告又は宣伝をするときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該喫煙目的室設置施設が喫煙目的室設置施設である旨を明らかにしなければならない。」
既存特定飲食提供施設の経過措置——3条件を満たす小規模店だけの選択肢
2020年4月1日時点で現に存する飲食店であること、資本金5,000万円以下であること、客席面積100㎡以下であることの3条件をすべて満たす施設だけが、喫煙可能室の設置を選択できる対象です。これは恒久制度ではなく経過措置であり、新規開業の店はこの選択肢を使えません。 開業を検討している読者は、この経過措置と恒久制度の違いを混同しないようにしましょう。
- 「条件1:[既存事業者]2020年4月1日時点で、現に存する飲食店であること。」
- 「条件2:[資本金]中小企業基本法における定義などから資本金5,000万円以下であること。」
- 「条件3:[面積]客席面積100㎡以下であること。」
違反への過料は「秩序罰」であって罰金ではない
健康増進法第76条・第77条は、違反者への過料(最大50万円・30万円)を定めています。厚生労働省自身がこれを「秩序罰としての過料」と説明しており、刑事罰である罰金や前科とは性質が異なります。 厚生労働省の一覧表では、施設標識の掲示は過料の対象とされる一方、広告・宣伝時の明示は指導・助言にとどまる扱いです。過料の有無にかかわらず、表示の整備は早めに進めておきたいところです。
- 「改正法によって、違反者には、罰則(過料)が課せられることがあります。改正法における過料とは、秩序罰としての過料であり、法律秩序を維持するために、法令違反者に制裁として科せられるものです。」
出典:健康増進法(平成十四年法律第百三号)|e-Gov法令API、改正法のポイント|なくそう!望まない受動喫煙(厚生労働省)、飲食店/事業者のみなさまへ|なくそう!望まない受動喫煙(厚生労働省)
地域名キーワード施策の板挟み——景品表示法の「実態表示」とGoogleの「誘導ページ」

地域名と業態を掛け合わせたページ施策は、飲食店SEOの定番です。不動産のSEO対策は表示規約とどう向き合う?おとり広告対策を解説でも扱ったとおり、業界固有の表示規制とSEOのページ施策が衝突する場面は少なくありません。 飲食店の場合、地域名の使い方はまったく異なる2つの一次ソースから同時に縛られており、片方だけを知っていても施策の全体像はつかめないままです。
「地域名×業態」の掛け合わせページはSEOの定番施策
「〇〇駅 焼肉」「△△市 居酒屋」のように、地域名と業態を掛け合わせたキーワードで上位表示を狙う施策は、飲食店SEOで広く行われています。複数店舗を展開する場合、店舗ごとに似た構成のページを量産する運用になりがちです。 この施策そのものが問題なのではなく、中身の作り方によってリスクが変わってくる点を、次の項から見ていきます。
産地・地域名の表示は実態が伴わなければ景品表示法上問題となりうる
先ほど見たとおり、「△△(地域名)野菜使用」等の表示は、実際の使用実態と異なれば景品表示法上の問題になり得るという理屈です。この論理は、メニュー表示だけでなく地域名キーワード施策のページ本文にも同じように及びます。 ページの見出しやコピーで地域名を強調するほど、実態との一致がより強く問われることになります。産地を前面に打ち出すなら、仕入れの実態を先に確認しておきましょう。
- 「「△△(地域名)野菜使用」との表示から、一般消費者は、△△(地域名)野菜のみが使用されている、又は△△(地域名)で生育・収穫された野菜のみが使用されていると認識するか、少なくとも使用している野菜の多くが△△(地域名)野菜か△△(地域名)で生育・収穫された野菜であると認識するものと考えられます。」
地域名だけ変えたページの量産は、Googleのスパムポリシー「誘導ページの不正使用」にも触れうる
Googleのスパムに関するポリシーは、地域や都市を対象としたページを複数持って1つのページへ誘導すること、階層が明確に定義されないまま内容の類似した複数のページを作ることの2つを誘導ページの不正使用の例に挙げています。ただし、これは「店舗ページを作ってはいけない」という意味ではないのです。 各店舗の住所・営業時間・写真・メニューといった固有の情報が備わっていれば、量産ページには当たりません。
- 「特定の地域や都市を対象としたドメイン名やページを複数持ち、それらのドメインから 1 つのページにユーザーを誘導する」
- 「サイト内における階層が明確に定義されていないため、構造としては検索結果の一覧に近く、内容が類似する複数のページを作成する」
出典:メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について|消費者庁、Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー|Google 検索セントラル
Googleのローカル検索・構造化データの正しい理解——GBPの禁止例とRestaurant専用ガイドの不在

最後に、Googleの公式ヘルプが実際にどう定めているかを確認していきます。GBP対策自体を扱う記事は数多くありますが、公式ヘルプの原文まで示す記事は少ないのが実情です。 ランキング要素、ビジネス説明の禁止例、口コミ依頼の線引き、構造化データ、レストランカルーセルという5つの論点を、原文とともに整理します。
ローカル検索結果は「関連性・距離・知名度」で決まる
Googleビジネスプロフィールヘルプは、ローカル検索結果が主に関連性・距離・知名度に基づいて表示されるという説明です。Googleは、ランキングを上げるためのリクエストや金銭の受け取りには一切応じていないとも明記しています。 「掲載順位を上げる」といった営業文句には根拠がないことを示す一次資料としても使える説明です。
- 「ローカル検索結果は、主に関連性、距離、知名度に基づいて表示されます。これらの要素を組み合わせて、最適な検索結果が表示されます。」
- 「重要: Google では、ランキングを上げるためのリクエストや金銭の受け取りには一切応じておりません。検索アルゴリズムの詳細は、すべてのユーザーにとって可能な限り公平なランキング システムを構築するために機密情報となっています。」
ビジネスの説明に価格訴求は書けない——公式の禁止例はまさに飲食店
Googleビジネスプロフィールヘルプは、ビジネスの説明欄に特別キャンペーンや特別料金を過度に強調する内容を含めないよう求めています。その禁止例が「地元で一番人気のベーグルが 500 円!」というフレーズです。この一文は、景品表示法の優良誤認表示(第5条第1号)とも接点を持ちうる表現です。 ただし景品表示法違反と断定できるものではなく、異なる2つのルールに同時に触れる構図として捉えておきましょう。
- 「特別キャンペーン、特別料金、特典などを過度に強調するコンテンツ。たとえば、「すべて 50% 引き」、「地元で一番人気のベーグルが 500 円!」などのフレーズは使用できません。」
インセンティブ付き口コミは禁止だが、依頼自体は許可される——線引きを対比で示す
Googleマップの投稿コンテンツポリシーは、口コミの投稿と引き換えにインセンティブを提供する行為や、その場で評価を要求・強要する行為を禁止しています。一方で、インセンティブを提供せず内容を誘導もしない形で、実体験に基づく投稿を募ること自体は許可されている、という説明です。 「口コミを頼むこと自体がNG」という理解は誤りで、インセンティブと内容誘導の有無が線引きになります。
- 「クチコミの投稿や否定的なクチコミの修正または削除と引き換えに、インセンティブ(金銭的報酬、割引、無料の商品やサービスなど)を提供する行為。」
- 「クチコミを依頼する際、販売者がユーザーにその場で評価を残したりクチコミを書いたりすることを要求または強要する行為は禁止されています。また、特定のコンテンツを含めるよう依頼することもできません。」
- 「インセンティブを提供したり、評価やクチコミの内容に影響を与えようとしたりせずに、実体験に基づくコンテンツの投稿を募ったり促したりする行為。」
LocalBusinessの具体的サブタイプを——Restaurant専用ドキュメントは存在しない
Google検索セントラルは、できる限り具体的なLocalBusinessサブタイプの使用を求めており、例示の筆頭はRestaurantです。飲食店は、Googleが名指しするサブタイプを最初から持つ、数少ない業種にあたります。 ただしRestaurant専用の構造化データガイドはなく、使えるのはローカルビジネスのドキュメント内のmenu・servesCuisine・priceRangeです。
- 「LocalBusiness の定義の全文は schema.org/LocalBusiness で確認できます。各ローカル ビジネスの拠点を LocalBusiness タイプとして定義します。できる限り具体的な LocalBusiness サブタイプ(Restaurant、DaySpa、HealthClub など)を使用してください。」
- 「食事を提供するビジネスの場合は、メニューの完全修飾 URL。」
- 「レストランで提供する料理の種類。」
レストランカルーセルは表示対象が限定されている——「入れれば載る」わけではない
Google検索セントラルは、レストランカルーセルについて「現在、レストラン カルーセルに表示されるレストランは限定されています」と明記しています。構造化データを実装すれば必ずカルーセルに載る、というわけではありません。 そもそもカルーセル自体は複数のレストランを一覧するサイト側の仕組みであり、単独店舗のサイトが実装するものではない点も押さえておきましょう。
- 「現在、レストラン カルーセルに表示されるレストランは限定されています。この機能の使用をご希望の場合は、こちらのフォームからご登録ください。」
出典:Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント|Google ビジネス プロフィール ヘルプ、Google に掲載するビジネス情報のガイドライン|Google ビジネス プロフィール ヘルプ、マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー|Google マップ ヘルプ、ローカル ビジネス(LocalBusiness)の構造化データ|Google 検索セントラル
合同会社ワンブリマーケティングについて
合同会社ワンブリマーケティングは、SEO・オウンドメディア運用・生成AI活用支援を専門とする企業です。飲食店のように、多くの読者が個人経営・中小企業でありながら、景品表示法の専用ガイドラインや受動喫煙対策の表示義務といった業種固有の一次情報を踏まえたサイト運営が必要な事業者を中心に、キーワード設計から記事制作、更新運用の設計までを一貫して支援しています。自店に合った進め方を相談したい方は、お問い合わせからご連絡ください。
飲食店のSEO対策についてよくある質問
Q1. 飲食店のSEO対策とMEO対策は何が違いますか?
SEOはウェブサイト全体の検索順位を扱う施策全般を指し、MEO(ローカルSEO)はGoogleビジネスプロフィール等ローカル検索での上位表示を指す実務上の呼び方です。Googleのローカル検索結果は「関連性・距離・知名度」の3要素で決まるとされています。 飲食店は、Googleが例示する具体的なLocalBusinessサブタイプ(Restaurant)を最初から持っている数少ない業種です。
Q2. 飲食店のホームページにアレルギー表示は義務ですか?
食品表示基準第1条のただし書きにより、設備を設けて飲食させる場合(外食)は第40条を除き食品表示基準の適用対象外で、アレルゲン表示の法的義務はありません。ただし義務でないことと情報提供が不要であることは別問題です。 消費者庁ガイドラインは、飲食店等にも積極的な情報提供を求めています。特定原材料は2026年4月にカシューナッツが加わり9品目ですが、対象は容器包装された加工食品です。
Q3. 「地元で人気」「地域No.1」のような表現はサイトに書いても良いですか?
Googleビジネスプロフィールのガイドラインは、ビジネスの説明欄で特別キャンペーンや特典を過度に強調する例として「地元で一番人気のベーグルが 500 円!」を挙げ、こうした表現を認めていません。景品表示法第5条第1号も、実際より著しく優良であると示す表示を業種を問わず禁じています。 ただし特定の用語を一律に禁止するものではなく、実態との一致が判断基準になる点も押さえておきましょう。
Q4. 喫煙可能な店であることをホームページに書く必要はありますか?
改正健康増進法の附則第2条第4項と健康増進法第35条第8項は、喫煙可能室・喫煙目的室を設ける施設の管理権原者等に、営業の広告又は宣伝をするときその旨を明らかにするよう義務づけています。「ウェブサイトへの掲載が義務」と断定はできませんが、自店サイトも「広告又は宣伝」に該当し得るため、記載を検討する価値はあります。 なお喫煙専用室のみを設置する店には、この義務は及ばないという扱いです。
Q5. お客様に口コミをお願いするのは規約違反になりますか?
Googleマップの投稿コンテンツポリシーは、口コミの投稿と引き換えにインセンティブを提供する行為や、その場で評価を要求・強要する行為を禁止しています。一方でインセンティブなし・内容誘導なしであれば、実体験に基づく投稿を募ること自体は許可されています。 依頼すること自体が一律に違反になるわけではなく、線引きはインセンティブと内容誘導の有無で決まるというルールです。
まとめ:飲食店のSEOは表示規制を理解して着実に進めよう
飲食店のSEOは、MEOや口コミ対策だけでは十分ではありません。メニュー・料理等の表示は景品表示法の対象で、「自家製」「地域名」「新鮮さの強調」等は実態との一致が問われますが、特定の用語を一律に禁止する規定ではないという整理です。外食にアレルゲン表示の法的義務はありませんが積極的な情報提供が求められ、喫煙可能室のある店には広告・宣伝時の明示義務もあります。まずは自店のメニュー表示・喫煙可否の記載・口コミの集め方を、本記事のOK・NGの整理と照らして見直すことから始めてみてください。
市場規模の数字は集客戦略を考えるうえでの前提になります。業種別SEOの支援では、業界統計が複数の系統に分かれていて単純に比較できないケースをたびたび目にしてきました。数字の出典と時点を必ずセットで確認する習慣が、記事の信頼性だけでなく施策の前提を誤らないためにも必要だと考えています。