社労士のホームページやSNSに、どこまで書いてよいのか迷っていませんか。社労士のSEOでは、広告の規律が法律ではなく施行規則第12条の11第2項と連合会会則に置かれています。本記事で扱うのは、広告表現の注意点・第27条による業務範囲の線引き・制度改正に合わせた更新の進め方の3つです。読み終えると、自事務所のサイトで確認すべき点が分かります。
社労士のSEOでまず確かめるのは、広告の規律が法律ではなく省令に置かれていること

社労士のSEOで最初に確かめるべきは、広告表現を縛る規律がどこに置かれているかです。士業に共通する規律の階層構造は士業のSEO対策は広告規制とどう両立する?表現の線引きを解説で扱いましたが、社労士の場合は法律にではなく省令に規律の実体がある点が特徴です。条文を実際に検索し、何が書かれ何が書かれていないかを確かめていきます。
社会保険労務士法の全文を検索しても「広告」の語は1件も出てこない
社労士の広告表現を検討する際、多くの人はまず社会保険労務士法の条文を探します。しかし法律本文77,530字を全文検索しても、「広告」「宣伝」「誇大」「勧誘」「誘致」はいずれも0件です。 施行令1,621字にも「広告」「宣伝」は見つかりません。社労士法だけを根拠に広告表現の可否を判断しようとしても、手がかりが出てこない構造です。
規律の実体は施行規則第12条の11第2項の表示規制
広告の規律の実体は、法律ではなく施行規則に置かれています。社会保険労務士法施行規則第12条の11第2項は「社会保険労務士又は社会保険労務士法人は、その業務について広告をするときは、重要事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。」と定めています。 「著しく」という限定が2回重なる書き方です。
依頼を誘致する場面そのものにも第1項がかかる
広告に至る前の勧誘の場面にも、同じ条文の第1項が及びます。施行規則第12条の11第1項は、依頼を誘致するに際し重要事項について「不実のことを告げ、又は故意に事実を告げない行為その他の不正又は不当な行為をしてはならない。」と定めています。 広告そのものだけでなく、営業トークやDMの文面も対象に含まれる規定です。
出典:社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)|e-Gov法令検索、社会保険労務士法施行規則(昭和四十三年厚生省・労働省令第一号)|e-Gov法令検索、社会保険労務士法施行令(昭和四十三年政令第三百二十七号)|e-Gov法令検索
連合会会則には、社労士だけが負う「適正な労使関係を損なう行為の禁止」がある

施行規則の表示規制に加えて、社労士には連合会会則という独自の規律も及びます。行政書士の広告規律の所在は行政書士のSEO対策は?広告規律の所在を職務基本規則から解説で扱いましたが、社労士の会則には他の士業に見られない「労使関係」そのものを守る条文があります。第6章「品位保持等」の中身を条文から確認していきます。
会則第43条の2は労使関係そのものを守る規定
連合会会則第43条の2は、社労士だけに向けられた独自の禁止規定です。条文は「社会保険労務士会の会員は、適正な労使関係を損なう行為をしてはならない。」と定めており、社会保険労務士法第1条の2の「公正な立場」という職責と接続しています。 条文の見出しは「適正な労使関係を損なう行為の禁止」で、「中立義務」という条文用語とは別の言い方です。
広告・宣伝の禁止は第43条の4第3項にあり、省令より射程が広い
広告・宣伝そのものを禁じる条文は、省令ではなく会則の側にも置かれています。連合会会則第43条の4第3項は「社会保険労務士会の会員は、誇大若しくは虚偽の事項により相手方を欺くおそれがある方法で、広告又は宣伝を行ってはならない。」と定めており、施行規則の「著しく」という限定より広い射程を持ちます。 省令と会則は文言も適用範囲も異なり、両方に目を通しておくのが前提です。
承諾のないメール広告は会則で禁じられている
メール配信の設計にも、この会則が直接効いてきます。第43条の4第4項は「社会保険労務士会の会員は、相手方の承諾を得ずに電子メールにより広告を送信してはならない。」と定めており、資料請求フォームで得たメールアドレスへの一斉配信も対象になり得ます。 オプトインの仕組みを設けずに配信すれば、この規定に触れる可能性が残る形です。
勧誘に先立って氏名・目的・業務内容を明らかにする義務がある
サイトに運営者情報を明示することにも、根拠となる条文があります。会則第43条の3第1項は「社会保険労務士会の会員は、事案の依頼を勧誘する場合においては、勧誘に先立って、相手方に対し、氏名、事案の依頼を勧誘する目的である旨及び業務の内容を明らかにしなければならない。」と定めています。 見出しは「報酬等の明示」ですが、それだけでは第1項の勧誘時の義務を見落とします。
出典:全国社会保険労務士会連合会会則(R6.11.29施行)|全国社会保険労務士会連合会
「経営者の味方」という打ち出しの前に、条文が求める立場を確認する

社労士事務所のサイトでは「経営者の味方」という打ち出しをよく見かけます。報酬を支払うのは事業主であり、法律や倫理綱領が求める立場との関係は、それほど単純ではないのです。ここでは条文と綱領の文言を確認し、両者がどう関係するのかを整理します。個別の表現が規律に触れるかどうかの判定までは踏み込まず、条文の確認にとどめる方針です。
法第1条の2は「公正な立場」を職責として定めている
社労士の職責を定める条文には、明確な言葉が置かれています。社会保険労務士法第1条の2は「社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。」と定めており、条文の言葉は「中立」ではなく「公正な立場」です。 この語がサイトの表現規律すべての土台になっています。
倫理綱領は「中立公正」を求めている
条文とは別に、業界の倫理綱領にも関連する言葉があります。社会保険労務士倫理綱領は「社会保険労務士は、品位を保持し、信用を重んじ、中立公正を旨とし、良心と強い責任感のもとに誠実に職務を遂行しなければならない。」と定めており、「中立公正」という語はここに登場します。 一方でこの倫理綱領に「広告」「宣伝」という語は1件もないのです。
他事務所との比較訴求は倫理綱領の「相互の信義」に触れる
他の事務所と比較する打ち出しを検討する場面でも、確認すべき条文があります。倫理綱領は「社会保険労務士は、相互にその立場を尊重し、積極的に知識、技能、情報の交流を図り、いやしくも信義にもとる行為をしてはならない。」と定めており、「相互の信義」の項に当たります。 個別の表現がこの項に触れるかどうかの判定は、本記事の範囲外です。
連合会の指導は都道府県会を経由する構造
広告表現に問題があった場合、誰がどう関わるのかも会則に定めがあります。会則第44条第2項は「本会は、社会保険労務士会の会員がその業務を行うにあたり、事業における適正な労使関係が損なわれないよう指導するものとする。」と定めていますが、指導は都道府県会を経由する構造です。 依頼者側の窓口としては、第46条の2の苦情処理相談窓口も設置されています。
出典:社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)|e-Gov法令検索、社会保険労務士倫理綱領|全国社会保険労務士会連合会、全国社会保険労務士会連合会会則(R6.11.29施行)|全国社会保険労務士会連合会
第27条の制限範囲を知ると、狙うキーワードで競合の顔ぶれが変わる

社労士のSEOでキーワードを選ぶ前に、第27条がどこまでを制限しているかを押さえておく必要があります。税理士の業務範囲と情報鮮度の論点は税理士のSEO対策は何を押さえる?税理士法と情報鮮度から解説で扱いましたが、社労士の場合は条文の号ごとに制限の有無がはっきり分かれています。まず確認したいのは、条文そのものの構造です。
第27条が制限しているのは第2条第1項第1号から第2号まで
無資格者が社労士業務を行うことを禁じる条文には、明確な範囲指定があります。社会保険労務士法第27条は「社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。」と定めています。 違反した場合の罰則は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。
第3号の相談・指導は条文上その範囲に入っていない
第27条が制限しているのは「第一号から第二号まで」という文言で、第3号は対象に含まれていません。第2条第1項第3号が定める労務管理・社会保険に関する相談・指導は、条文上、第27条の制限範囲の外側にあります。 ただし第2条第4項や弁護士法第72条で別の制限がかかるため、無資格者が自由に行えるという評価にはならないのです。
ただし書により、税理士・公認会計士の業務に付随する範囲は制限が外れる
第27条にはただし書があり、例外が政令で定められています。社会保険労務士法施行令第2条は、税理士又は税理士法人が行う税理士法第2条第1項に規定する業務、公認会計士又は外国公認会計士が行う公認会計士法第2条第2項に規定する業務の2つに限って、制限を解除しています。 どこまでが付随する範囲に当たるかの個別の当てはめは、本記事の対象外です。
実態調査では受託業務の41.5%が手続業務、需要が増えた業務は相談業務が71.5%で最多
どの号の業務にキーワードを割り当てるかは、業界の実態データが参考になります。2024年度社労士実態調査では、開業社労士の受託業務の内訳で手続業務の平均値が41.5%と最も高い一方、5年前と比べ需要が増えた業務は労働及び社会保険に関する相談業務が71.5%で最多でした。 売上の中心と検索需要の伸びは、必ずしも一致しません。
出典:社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)|e-Gov法令検索、社会保険労務士法施行令(昭和四十三年政令第三百二十七号)|e-Gov法令検索、2024年度社労士実態調査 調査結果概要|全国社会保険労務士会連合会 社会保険労務士総合研究機構
特定社労士のADR代理は、「百二十万円」が法律の条文に直接書かれている

特定社労士が担うADR代理には、金額でくっきり線が引かれた条文があります。弁護士との業務範囲の対比は弁護士のSEO対策|非弁提携と解決事例の書き方を解説で扱いましたが、社労士の場合は120万円という具体的な金額が法律の条文そのものに書かれている点が特徴です。まずはこの数字の位置づけと、条文が付けている条件を確認します。
条文は「紛争の目的の価額が百二十万円を超える場合には、弁護士が同一の依頼者から受任しているものに限る。」と定めている
個別労働関係紛争のADR代理を定める条文には、金額の条件が直接書き込まれています。社会保険労務士法第2条第1項第1号の6は「紛争の目的の価額が百二十万円を超える場合には、弁護士が同一の依頼者から受任しているものに限る。」と定めています。 120万円を超えると扱えなくなるのではなく、弁護士との共同受任という条件が付く構造です。
紛争解決手続代理業務は特定社労士に限られる
この業務を行えるのは、社労士なら誰でもというわけではありません。社会保険労務士法第2条第2項は、紛争解決手続代理業務を紛争解決手続代理業務試験に合格し名簿に付記を受けた特定社会保険労務士に限って認めており、2025年3月31日現在の登録者数は全体46,237人のうち特定社労士は14,405人です。 サイトで代理業務を扱う旨を書く場合、この付記の有無が前提になります。
120万円は政令ではなく法律の条文に書かれている
120万円という金額の位置づけは、しばしば誤解されているところです。社会保険労務士法施行令の本則はわずか2条で、金額の定めは受験手数料15,000円のみであり、紛争の目的の価額に関する規定は存在しません。 「120万円は政令で定められている」という説明は誤りで、金額は条文本文に直接「百二十万円」と書かれた数字です。
弁護士法第72条と罰則(2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)=範囲の外側
社労士の業務範囲の外側には、弁護士法の壁があります。弁護士法第72条は、弁護士又は弁護士法人でない者が報酬を得る目的で訴訟事件や一般の法律事件について代理・仲裁・和解などの法律事務を取り扱うことを禁じており、違反すると2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科されます。 社労士法第27条違反(1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)より重い罰則です。
出典:社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)|e-Gov法令検索、社会保険労務士法施行令(昭和四十三年政令第三百二十七号)|e-Gov法令検索、弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)|e-Gov法令検索、社会保険労務士白書 2025年版 第2章「社会保険労務士について」|全国社会保険労務士会連合会
記事を外注するとき、第23条の2の「名義を利用させてはならない」が線になる

記事制作を外部に依頼する社労士事務所は少なくありませんが、外注には社労士固有の注意点があります。制作会社に頼める範囲の線引きはホームページ制作会社にSEOはどこまで頼める?守備範囲の線引きを解説で扱いましたが、社労士の場合は名義に関する条文が直接関わってきます。誰が下書きを書くかではなく、誰の判断で世に出すかが分かれ目です。まずはその条文を確認します。
第23条の2は名義を利用させることを禁じている
外注そのものを一律に禁じる条文はありませんが、関わる条文はあります。社会保険労務士法第23条の2は「社会保険労務士は、第二十六条又は第二十七条の規定に違反する者から事件のあつせんを受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。」と定めています。 違反した場合は第32条の2第1項第3号により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です。
Googleも「誰が」書いたかを明確にすることを求めている
外注記事の扱いは、Google側の評価基準とも重なります。Googleは「バイラインが著者や関係者についての詳細につながるものであり、その人たちのバックグラウンドや専門分野に関する情報をもたらすものになっていますか。」と問いかけ、著者情報を明確にすることを強く勧めています。 誰が書いたかを曖昧にしたまま公開する運用は、この観点からも避けたいところです。
名称の使用制限に「社労士」という略称が明記されたのは2025年7月5日施行の改正から
外注先の屋号やサービス名にも、確認すべき条文があります。社会保険労務士法第26条は「社会保険労務士でない者は、社会保険労務士又は社労士その他の社会保険労務士に類似する名称を用いてはならない。」と定めており、この略称の明記は2025年7月5日施行の改正で追加されました。 改正前は「これに類似する名称」という表現に略称の例示がありませんでした。
順位を保証する業者への注意
外注先の営業トークにも、注意すべき言い回しがあります。Googleは、サイトの掲載順位を保証すると主張する業者や、Googleとの特別な関係を強調する業者、Googleへの優先登録を宣伝する業者には注意が必要だと明記しています。 Googleで一番上に掲載されることは誰にも保証できないという前提から、外注先を選ぶのが順序です。
出典:社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)|e-Gov法令検索、有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成|Google 検索セントラル、SEO 業者の利用を検討する|Google 検索セントラル
事務所は原則1つ。地域名ページの量産はGoogle側からも塞がれている

地域名を変えただけのページを量産する手法は、社労士の制度面とGoogle側の方針の両方に触れます。開業社労士が持てる事務所の数には法律上の制限があり、社会保険労務士法人には複数の事務所を前提にした制度設計があります。個人事務所と法人でここが大きく分かれる点です。まず事務所数の制度を確認し、そのうえでGoogle側の方針を見ていきます。
法第18条第1項は事務所を二以上設けることを禁じ、ただし書で厚生労働大臣の許可を例外にしている
開業社労士が持てる事務所の数には、法律上の上限があります。社会保険労務士法第18条第1項は、開業社会保険労務士について「その業務を行うための事務所を二以上設けてはならない。ただし、特に必要がある場合において厚生労働大臣の許可を受けたときは、この限りでない。」と定めた条文です。 例外を認めているのは厚生労働大臣の許可を受けた場合に限られます。
社会保険労務士法人は複数事務所を前提にした制度になっている
個人事務所とは対照的に、法人の側は複数拠点を前提にした制度設計です。2025年3月31日現在の社会保険労務士法人の会員数は3,103で、その内訳は主たる事務所2,611・従たる事務所492であり、連合会会則の別表も複数事務所を持つ法人の存在を前提にしています。 社労士事務所は支店を出せないという一般化は、法人には当てはまらない説明です。
第18条違反に罰則の条文はなく、懲戒の対象になり得る構造
事務所を2つ以上設けた場合の扱いについては、条文の構造を正確に押さえておく必要があります。第18条違反に対応する罰則の条文は第32条の2にも第33条にも置かれておらず、刑事罰ではなく第25条の3の一般の懲戒の対象になり得る構造です。 罰則がないことと、問題にならないことは別だという点に気をつけましょう。「2つ目の事務所を作ると罰金」という説明は、条文の構造とは別の話です。
Googleは誘導ページの不正使用とキーワードの乱用を例示している
地域名だけを差し替えたページの量産は、Google側の方針にも触れます。Googleのスパムに関するポリシーは、特定の地域や都市を対象としたドメイン名やページを複数持ち、それらのドメインから1つのページにユーザーを誘導する行為を誘導ページの不正使用として挙げ、都市名や地域名を羅列したテキストのブロックをキーワードの乱用として挙げています。 どちらも社労士サイトのフッターで見かける形式です。
出典:社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)|e-Gov法令検索、社会保険労務士白書 2025年版 第2章「社会保険労務士について」|全国社会保険労務士会連合会、Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー|Google 検索セントラル
労働・社会保険の制度改正が、公開済みの記事を毎年古くする

社労士のコンテンツが抱える最大の弱点は、制度が動き続けることです。限られた人手で更新をどう優先するかという論点は中小企業のSEO対策は何から始める?優先順位と時間の使い方を解説で扱いましたが、社労士の場合は法改正そのものが更新の起点になります。改正の多い分野ほど、公開後の手当てが記事の質を左右します。まず確認しておきたいのは、適用拡大のスケジュールです。
社会保険の適用拡大は企業規模要件が段階的に縮小される
短時間労働者の社会保険加入をめぐる企業規模要件は、これから10年かけて変わっていきます。2026年8月12日時点の厚生労働省の資料によると、現在の従業員51人以上という要件は、2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上、2035年10月に10人以下へと段階的に縮小されます。 この一方向のスケジュールを前提に、記事の更新計画を組む形です。
月額8.8万円の賃金要件の撤廃は2026年8月12日時点で未施行
いわゆる「年収106万円の壁」に関わる賃金要件も動いています。2026年8月12日時点で、厚生労働省は月額8.8万円以上の賃金要件について、法律の公布から3年以内で全国の最低賃金が1,016円以上となることを見極めて撤廃する予定としており、撤廃済みではありません。 「撤廃されました」と書いてしまえば、この時点では事実と異なる記述です。
法第1条が「使命」規定に変わったのは2025年6月25日から
条文そのものが書き換わった例として、第1条が分かりやすい実例です。社会保険労務士法第1条は2025年6月25日から「社会保険労務士の使命」を定める規定になりましたが、改正前は「この法律は、社会保険労務士の制度を定めて、その業務の適正を図り」で始まる制度目的規定でした。 改正前の条文を現行として引用したままの解説記事は、この時点で古い記述です。
令和8年度の雇用保険料率は一般の事業で13.5/1,000、労災保険率は令和7年度から変更なし
保険料率も、年度ごとに見直しの有無を確認する必要があります。令和8年度(2026年4月1日から2027年3月31日まで)の雇用保険料率は一般の事業で13.5/1,000と令和7年度より引き下げられた一方、労災保険率は令和7年度から変更ありません。 同じ記事の中でも、制度によって改定のタイミングは別々です。
助成金は年度単位で内容が変わる
助成金の記事は、年度をまたぐと最も古くなりやすい領域です。業務改善助成金は令和8年度の交付申請の受付開始日が令和8年9月1日で、パソコン等の端末は特例事業者のうち物価高騰等要件に該当する場合に限り助成対象経費になります。 この限定を落として「パソコンが買える」とだけ書くと誤りになります。年度が替わるたびに交付要綱・要領の差分を確認する工程が要る領域です。
出典:社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)|e-Gov法令検索、社会保険の加入対象の拡大について|厚生労働省、令和8(2026)年度雇用保険料率のご案内|厚生労働省、令和8年度の労災保険率について(令和7年度から変更ありません)|厚生労働省、業務改善助成金|厚生労働省
顧問契約という業態が、社労士のサイト設計を他業種と分ける

社労士のサイト設計を考えるうえで欠かせないのが、顧問契約という業態の特徴です。検索者と決裁者がずれるという論点はBtoBのSEOとBtoCの違いとは?検索者と決裁者のズレから解説で扱いましたが、社労士の場合はさらに事務所の規模そのものが小さいという事情が重なります。まずは事務所の体制を数字で確認します。
開業社労士の56.4%が1人の事務所
社労士のサイト運用を考えるうえで、まず押さえるべきは人手の実態です。2024年度社労士実態調査によると、開業社労士の事務所の体制は「1人」の割合が56.4%と半数を超え、事務所の従業員総数の平均は2.7人です。 SEOに割ける時間そのものが限られているという前提から、施策の優先順位を考える必要があります。
顧問契約社数は平均33.2社・中央値10.0社、売上は平均1,657.9万円・中央値550.0万円
開業社労士1事務所あたりの実態には、平均と中央値の大きな開きがあります。同調査では顧問契約社数が平均33.2社・中央値10.0社、年間売上(収入)金額が平均1,657.9万円・中央値550.0万円で、いずれも平均が中央値の3倍前後です。 平均だけを見ると、実際の中心的な水準を見誤ります。目標設定に使うなら、中央値の側を基準にしたいところです。
売上の内訳は顧問契約71.9%・スポット28.1%
売上の構成比を見ると、ストック型の業態だという特徴が浮かびます。契約形態別の売上内訳は顧問契約が71.9%、スポット契約が28.1%で、顧問契約の締結が主流です。 入口が同じでも、その先にたどってほしい経路は単発と顧問で違います。単発の手続き相談で終わる導線と、顧問契約につながる導線は、サイト側でも分けて設計しておきたいところです。
顧問契約先の63.9%が従業員29人以下
顧問契約の相手先にも、はっきりした傾向があります。顧問契約社数の総数462,634社のうち、従業員規模が29人以下の企業が63.9%を占めています。 従業員数十人規模の企業を想定していない言葉づかいのページは、この層には届きにくいのです。サイトを読む労務担当者と契約を決める経営者が同一人物になりやすい規模感です。
63.7%が「顧客獲得の難しさ」を不安・ストレスとして挙げている
社労士自身が抱える悩みも、調査に表れています。社労士としての職業生活で感じる不安やストレスとして「顧客獲得の難しさ」を挙げた割合は63.7%で、必要な専門知識の深さ・広さ(85.9%)、業務上の責任の重さ(84.5%)に次ぐ水準です。 個々の事務所の努力不足という話ではなく、業界全体で共有された課題として表れています。
出典:2024年度社労士実態調査 調査結果概要|全国社会保険労務士会連合会 社会保険労務士総合研究機構、社会保険労務士白書 2025年版 第2章「社会保険労務士について」|全国社会保険労務士会連合会
E-E-A-Tと構造化データは、いまの仕様を確認してから手を入れる

社労士のサイトにE-E-A-Tや構造化データを取り入れる前に、いまのGoogle側の仕様を確認しておく必要があります。この領域は更新が特に速く、数年前の解説のまま止まっている実装も少なくありません。古い前提のまま手を入れると、労力が無駄になるだけです。ここでは2026年8月12日時点の公式ドキュメントを根拠に整理します。
E-E-A-T自体はランキング要因ではない
同業者が読む記事だからこそ、ここは原文どおりに書くべきところです。Googleは「E-E-A-T 自体はランキングに直接影響する要因ではありません」と明言しており、YMYLに該当し得るトピックではE-E-A-Tが優れたコンテンツを特に重視するという説明にとどまっています。 「E-E-A-Tはランキング要因です」という説明は、原文の明言とは食い違う理解です。
よくある質問のリッチリザルトは2026年5月7日をもって表示されなくなり、ドキュメントも削除された
FAQ構造化データについては、仕様そのものが変わっています。よくある質問のリッチリザルトは2026年5月7日をもってGoogle検索に表示されなくなり、公式ドキュメントも2026年6月15日に削除されました。 マークアップ自体が禁じられたわけではありませんが、リッチリザルトを狙う目的での導入には意味がない状態です。
優先される文字数という設定は存在しない
文字数やファイルについても、根拠のない通説が広まっているところです。Googleは「Google が優先する文字数があるとどこかで聞いたか読んだかしたために、特定の文字数になるように記事を書いていますか(そのような設定は存在しません)。」と明言しており、llms.txtについても検索の可視性やランキングに影響しないとしています。 「◯◯文字書くべき」という指示は、この明言と合わない主張です。
社労士診断認証制度の認証マークは第三者の確認を示せる材料
自事務所以外のサイトで信頼性を示す方法としては、連合会の制度があります。社労士診断認証制度には、企業自らが宣言する職場環境改善宣言企業、社労士の確認を受けた経営労務診断実施企業、必須項目のすべてが適正と認められた経営労務診断適合企業という3種類の認証マークがあり、取得と掲載は無料です。 これは顧客企業向けの制度で、SEOの順位に直接効くと説明されているわけではありません。
出典:有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成|Google 検索セントラル、Google 検索セントラル ドキュメントの更新履歴・最新情報一覧|Google for Developers、社労士診断認証制度とは?|社労士診断認証制度
合同会社ワンブリマーケティングについて
合同会社ワンブリマーケティングは、SEO・オウンドメディア運用・生成AI活用支援を専門とする企業です。法律・制度に関わるYMYL領域を含む複数業種の支援で、業界ごとの規律を一次ソースで確認しながらコンテンツを設計する姿勢を大切にしています。 社労士のように制度改正が速い業界では、条文と統計を定期的に確認し直す運用そのものが成果につながると考えています。自事務所に合った進め方を相談したい方は、お問い合わせからご連絡ください。
社労士のSEO対策についてよくある質問
Q1. 社労士がホームページに書いてはいけない表現はありますか?
施行規則第12条の11第2項は、重要事項について著しく事実に相違する表示や、実際より著しく優良・有利だと誤認させる表示を禁じています。連合会会則第43条の4第3項も、誇大若しくは虚偽の事項により相手方を欺くおそれがある方法での広告・宣伝を禁じており、省令より広い射程を持ちます。 個別の表現の適否は、最終的には所属する都道府県社会保険労務士会に確認してください。
Q2. 顧問料の相場をサイトに載せるべきですか?
社労士の顧問料・スポット報酬の相場については、公的な報酬統計は公表されていません。施行規則第12条の10は事務を受任しようとする場合に報酬の基準を示す義務を定めていますが、これはサイト掲載の義務ではなく、連合会会則第43条の3第2項が受任に際して書面の交付等で報酬等を明示し十分に説明する義務を定めています。 料金の考え方をサイトに書いておくこと自体は、実務上の合理性がある対応です。
Q3. 外注ライターが書いた記事を自分の名前で公開してもよいですか?
公開すること自体を一律に禁じる条文はありませんが、社会保険労務士法第23条の2は名義の利用に関する条文です。下書きを外部に依頼した場合でも、事実と表現を有資格者が確認したうえで、誰の名前で公開するかを明確にしておく運用が欠かせません。 Googleも著者情報を明確にすることを強く勧めており、外注の有無そのものより、最終的に誰が判断したかが問われます。
Q4. あっせん代理の実績はサイトに書けますか?
個別労働関係紛争のあっせん代理を含む紛争解決手続代理業務は、特定社会保険労務士だけが行える業務です。紛争の目的の価額が百二十万円を超える場合には、弁護士が同一の依頼者から受任しているものに限るという条件も条文に直接書かれています。 特定社労士の付記の有無や金額の条件を確認せずに実績だけを打ち出すのは、避けたい書き方です。
Q5. 社労士のSEOはどのくらいで成果が出ますか?
Googleは、サイトの掲載順位を保証する業者や、Googleとの特別な関係を強調する業者には注意が必要だと明記しています。Google で一番上に掲載されることは誰にも保証できないというのが公式の立場で、成果が出るまでの期間を一律に示すことはできません。 前提になるのは、条文や制度に基づいた正確なコンテンツを積み重ねることです。
まとめ:規律の所在を確かめてから社労士のSEOを進めよう
社労士のSEOで押さえるべき結論は、広告の規律が法律にではなく施行規則第12条の11第2項と連合会会則第43条の4に置かれているという構造にあります。第27条が制限する範囲は第2条第1項第1号から第2号までで第3号は含まれないこと、特定社労士のADR代理には百二十万円という条件が条文に直接書かれていること、社会保険の適用拡大や助成金のように毎年動く制度があることは、特に押さえておきたい点です。 自事務所のサイトの表現と条番号を点検し、判断に迷う点は所属する都道府県社会保険労務士会に確認することから始めてみましょう。
広告のルールは法律の条文を読めば分かると考えられがちです。ある専門サービス業の支援では、根拠法令を全文検索してみると『広告』という語が国の法律には一件も無く、実際の規律は省令や業界団体の会則にしかなかったという経験をしました。 条文の見出しだけを頼りに探すと規律そのものを見落とすため、全文検索で確認する必要があると考えています。