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弁護士のSEO対策|非弁提携と解決事例の書き方を解説

SEO 公開:2026.08.09 更新:2026.08.16
弁護士のSEO対策|非弁提携と解決事例の書き方を解説のアイキャッチ画像
合同会社ワンブリマーケティング 代表 星野和大
執筆
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表

オウンドメディアを自ら立ち上げて売却し、SEOスタートアップの創業メンバーとしてメディアのグロースに従事。事業会社でのマーケティング、フリーランスとしての戦略立案を経て現職。生成AI領域では国内最大の生成AI活用支援コミュニティで講師を務め、企業研修・カンファレンス登壇も多数。

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弁護士のホームページやコラムを増やしても、他業種にはない規律がかかるのではと不安に感じていませんか。弁護士のSEOには、SEO業者やポータルとの契約における非弁提携の確認と、解決事例やお客様の声の書き方という、弁護士固有の論点があります。本記事で中心に扱うのは、契約や事例ページで確認すべき具体的なポイントです。読み終える頃には、自事務所のサイトや外注契約のどこを見直すべきか判断できます。

事務所サイトもコラムも「広告」に当たる——弁護士のSEOがかかる二階建ての規律

事務所サイト・コラム記事・SNS解説動画が日弁連規程上の「広告」に当たるかを、顧客誘引が主たる目的かを軸に判定する4段階のフローチャート。表示がなくても全体として顧客誘引目的と認められる場合があるという注記付き

弁護士のSEOでまず押さえたいのは、事務所サイトやコラムも規律の対象に入るかという判定の入口です。禁止される7つの広告類型や「専門」表示の扱いは士業のSEO対策は広告規制とどう両立する?表現の線引きを解説で扱ったため、本記事ではその手前にある「そもそも何が広告に当たるのか」という判定基準から確認していきます。

「広告」とは何か——顧客誘引が目的なら媒体を問わない

日弁連の規程は「広告」を、「伝達及び表示行為であって、顧客又は依頼者となるように誘引することを主たる目的とするものをいう。」と定義しています。この定義は媒体を限定していません。指針も、ウェブサイトや動画サイト、SNSなどあらゆる媒体が広く利用でき、媒体自体から直ちに一般的に禁止されるものはないとしつつ、方法や表示形態によっては規程第3条の各号に違反することがあり得るという整理です。

動画・SNSも「全体として顧客誘引目的」なら広告になる

指針は、特定の法律問題を解説する動画に事務所名や連絡先を記載すること自体は、顧客誘引が主たる目的とは必ずしも判断されないとしています。ただし「そのような表示がなくても当該動画の趣旨が全体として顧客誘引が主たる目的であると認められる場合もあることに留意するものとする。」とも述べており、解説動画やSNS投稿も油断はできません。事務所サイトのコラムも同じ構造で判断されます。

弁護士職務基本規程第9条——広告・宣伝の一般規律

弁護士の広告規律は二階建てです。弁護士職務基本規程第9条は「弁護士は、広告又は宣伝をするときは、虚偽又は誤導にわたる情報を提供してはならない。」「弁護士は、品位を損なう広告又は宣伝をしてはならない。」という一般規律を定め、業務広告規程がその詳細を定めています。「日弁連の規程」とだけ書かれた解説には、どちらを指すのか見分けておきたいところです。 業務広告規程は令和7年12月5日に改正されました。

「最も」「完璧」「顧客満足度」——文脈で問題となりうる用語

指針は、広告中に使う場合に文脈によって問題となり得る用語として4つの類型を挙げています。「使用禁止の用語」ではなく、文脈次第で規程に触れうるという整理です。 最大級を表現した用語、完全を意味する用語、実証不能な優位性を示す用語、結果を保証又は確信させる用語の4つで、いずれもタイトルや見出しで使いたくなる語ばかり。具体例は次の表のとおりです。

出典:業務広告に関する指針|日本弁護士連合会/第3・13「広告中に使用した場合、文脈によって問題となり得る用語」/確認日 2026-08-09

#用語の類型(原文ママ)
(1)「最も」、「一番」その他最大級を表現した用語
(2)「完璧」、「パーフェクト」その他完全を意味する用語
(3)「信頼性抜群」、「顧客満足度」その他実証不能な優位性を示す用語
(4)「常勝」、「不敗」その他結果を保証又は確信させる用語
星野 和大
執筆者の見解
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表

指針は「SEO」を名指しする条文がある一方で、事務所サイトの解説記事そのものを禁止してはいません。相談を受けた法律事務所の中には、この二階建ての構造を理解しないまま「広告ではないから何を書いても自由」と考えているケースと、逆に「弁護士は何も発信できない」と萎縮しているケースの両方がありました。規律がかかるかどうかを分けるのは、媒体の種類ではなく書き方の一言一句だと感じています。

出典:弁護士等の業務広告に関する規程(会規第四十四号)|日本弁護士連合会業務広告に関する指針|日本弁護士連合会弁護士職務基本規程(平成十六年十一月十日会規第七十号)|日本弁護士連合会

4万6,243人・東京に約半数——弁護士人口の構造からキーワードを決める

弁護士1人あたりの人口を、最も多い秋田県11,354人と最も少ない東京都614人の2本の横棒で比較した図。東京都に全国の弁護士の49.97%が集中していることを併記し、弁護士白書2025年版(2025年3月31日現在)を出典として明記している。地方が狙い目と読める強調や色分けはしていない

弁護士のSEOで「人数が多いから競合が激しい」という理解だけで終わらせず、地域偏在という別の軸も押さえておきたいところです。1人事務所が大半という体制での優先順位付けは中小企業のSEO対策は何から始める?優先順位と時間の使い方を解説で扱ったため、本記事では弁護士人口の構造そのものを数字で確認します。

弁護士は4万6,243人、東京都に49.97%が集中

日弁連の統計は「日弁連設立当初の弁護士人口は、5,800 人程度であったが、その後増加し、2025 年3月31 日現在で4万6,243 人となっている。」としています。このうち東京都には全国の49.97%にあたる23,107人が所属しており、これは弁護士白書の原表に掲載された値です。数値は2025年3月31日現在のもので、「今は約4万6千人」のように現在形で扱うのは避けます。

法律事務所の62.17%が1人事務所——専任のマーケ担当がいない前提

弁護士白書によると、全国の法律事務所1万8,591事務所のうち62.17%が1人事務所です。専任のマーケ担当を置ける事務所はむしろ少数派という前提で考えたいところ。 Googleも、小規模なローカルビジネスの経営者はおそらく作業の多くを自分で行えるとしたうえで、「SEO スターター ガイドから始めることをおすすめします。」と述べています。規模に応じた進め方を示す一言です。

出典:弁護士白書2025年版 資料1-3-3・資料1-3-2|日本弁護士連合会(https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/document/statistics/2025/1-4-1.pdf)/確認日 2026-08-09

事務所の規模2025年の事務所数構成比
1人事務所11,55862.17%
2人事務所3,18117.11%
3〜5人事務所2,65414.28%
6〜10人事務所8044.32%
11〜20人事務所2531.36%
21〜30人事務所660.36%
31〜50人事務所410.22%
51〜100人事務所200.11%
101人以上事務所140.08%
合計18,591

弁護士ゼロワン地域はほぼ解消——残るのは「偏在」

日弁連は「1993 年当時50 か所存在した弁護士ゼロ地域は、2025 年12 月1日現在0か所、ワン地域は1か所となった。」と説明しています。弁護士が1人もいない地裁支部はほぼ解消済みで、残っているのは東京都614人・秋田県11,354人という弁護士1人あたりの人口の偏りです。過疎ではなく偏在が残る構図です。

星野 和大
執筆者の見解
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表

「地域名+分野」のキーワードを検討する前に、自分の事務所がどの競合密度の中にいるかを把握しておくべきだと考えています。東京の事務所と、弁護士1人あたりの人口が1万人を超える地域の事務所とでは、検索結果に並ぶ相手の数がそもそも違います。ただし競合が少ないことと上位表示のしやすさは別の話です。ここで押さえるべきは事実だけで、有利不利の判断はしません。

出典:弁護士白書2025年版 第1編第1章 弁護士人口|日本弁護士連合会弁護士白書2025年版 資料1-1-15 都道府県別弁護士1人あたりの人口|日本弁護士連合会弁護士白書2025年版 第1編第3章 法律事務所の共同化及び弁護士法人の現状|日本弁護士連合会弁護士白書2025年版 第2節 日弁連・弁護士会等による弁護士過疎・偏在解消のための取組|日本弁護士連合会SEO 業者の利用を検討する|Google 検索セントラル

「地域名×分野」のページを量産する前に確認したいこと

地域名×分野の掛け合わせで実務の記述があるページと、対応エリア名だけを差し替えた量産ページを左右に比較する図。量産ページ側には有用性の低い中間ページや内容が類似する複数ページというGoogleの原文条件を注記し、断定的なNGラベルは付けていない

地域名だけでは、東京集中の中にすぐ埋もれてしまいます。地域名×業種の掛け合わせという設計思想は工務店のSEO対策は何を優先する?商圏の狭さと表示規制から解説でも扱いましたが、弁護士の場合はページを増やす前に確認したい条件があります。ここで整理するのは、「地域名×分野」ページの作り方と、量産が触れうるスパムポリシーです。

掛け合わせの軸は「取扱ってきた分野」から出す

「地域名×分野」ページを作るとき、分野の軸をどこから出すかが最初の分かれ目です。軸は、自分の事務所が実際に取扱ってきた分野から出します。 相続・離婚・交通事故・債務整理といった分野名を機械的に組み合わせるのではなく、これまで受任した事件の傾向を棚卸しし、そこから記事のテーマを選んでいく進め方が土台になります。

対応エリアの機械的な量産は「誘導ページの不正使用」に触れうる

Googleは「誘導ページの不正使用とは、特定の類似した検索語句で検索結果の上位に表示されることを目的にサイトまたはページを作成することです。」と定義しています。例示には特定の地域や都市を対象としたドメインやページを複数持ち、そこから1つのページへ誘導する形も挙がっています。 「地域名×分野」のページを対応エリアだけ差し替えて量産する運用は、この例示に近い形です。

フッターの地域名羅列は「キーワードの乱用」の例示に近い

Googleは「キーワードの乱用とは、Google 検索結果のランキングを操作する目的で、ウェブページにキーワードや数字を詰め込むことです。」と説明しています。例示の1つが「ウェブページが特定の都市や地域に関する検索結果の上位に掲載されるようにするために、都市名や地域名を羅列したテキストのブロック」です。 フッターへの対応エリア列挙は、この例に近づきます。

生成AIでの大量生成は、方法ではなく価値の有無で判断される

Googleは「大量生成されたコンテンツの不正使用とは、ユーザーをサポートすることではなく、検索ランキングの操作を主な目的として大量のページを生成することを指します。」と定義し、作成方法は問わないという整理です。例示にも「生成 AI ツールまたはその他の同様のツールを使用して、ユーザーにとっての価値を付加することなく大量のページを生成すること」が挙がっています。 判断の軸は道具ではなく価値の有無。

星野 和大
執筆者の見解
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表

記事の本数を増やせば地域名クエリで勝てる、というご相談はよく受けます。ただ弁護士の場合、東京の三つの弁護士会だけで法律事務所が7,356か所ある中で、対応エリアを差し替えただけのページを量産しても、読者にとっての情報量は増えないままです。掛け合わせる分野を1つ増やすたびに、その分野で実際に扱った事案の要点を1つ足せるか——その確認を先にすべきだと考えています。

出典:Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー|Google 検索セントラル有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成|Google 検索セントラル

解決事例と「お客様の声」——弁護士のコンテンツSEOで最も事故が起きる場所

指針が虚偽表示の例に挙げる4つの書き方(架空の解決事例・脚色・実在しないお客様の声・直接回答していない相談実績)と、事実に基づいて書ける形(依頼者が特定されない進め方の説明・一般的な制度解説・外部原稿も広告として扱う前提の確認)を左右に並置した図。安全を示すチェックマークや変換矢印は使わず、下部に規程第4条の条件が別途かかる旨の注記を付けている

解決事例やお客様の声を増やすのはSEOの定石ですが、弁護士の場合はここに最大の落とし穴があります。症例写真や口コミといった実績系のコンテンツが規制に触れやすい構造は歯科医院のSEO対策は何が特殊?診療科名と自由診療の制約から解説でも扱いました。本記事で確認するのは、指針が虚偽表示の例として名指ししている書き方のほうです。過去の事件を表示できる条件は規程第4条が別に定めています。

指針が名指しする「脚色」——解決事例の書き方

指針は、事実に合致していない広告の例として「解決事例として、架空の事例を記載すること及び解決できた場合であっても、表示されたとおりの解決ができなかった事例を脚色して記載すること。」を挙げています。架空の事例だけでなく、実際にあった事例の脚色までもが例示の対象です。 「読みやすくするための多少の演出」のつもりでも、この例に触れかねません。

「お客様の声」「法律相談実績」も虚偽表示の例に挙がっている

指針は「お客様の声として、実在の依頼者が関与していない文章を記載すること。」、そして「法律相談実績として、相談の申込みがあったが実際に回答していないもの又は弁護士が直接回答していないものを含めて記載すること。」も、事実に合致していない広告の例として挙げています。「お客様の声」「相談実績◯件」というSEOでよく使われる表現が、名指しで例示されている構造です。

第三者に書いてもらった文章も、事務所の広告として判断される

指針は「当該著名人、依頼者等の第三者の談話、証言、推薦文等を利用した広告であると認めるときは、当該談話、証言、推薦文等を含めて、規程に違反するものであるか否かを判断するものとする。」としています。外部ライターやインタビュー記事も、書いたのが第三者というだけでは規程の対象から外れません。 事務所の広告として扱われる前提で、掲載前に内容を確認しておきたいところです。

Googleが求める「実体験」と、秘密を「利用してはならない」規律

Googleは「コンテンツは、実体験や深い知識(たとえば、実際に商品やサービスを使用したり、ある場所を訪れたりした経験に基づく特別な知識)を明確に示していますか。」と問うています。弁護士における実体験は取扱事件の経験そのものですが、弁護士職務基本規程第23条は、正当な理由なく依頼者の秘密を他に漏らすことだけでなく、利用することも禁じています。両者は緊張関係にある構図です。

星野 和大
執筆者の見解
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表

事例コンテンツはSEOで最も反応が取りやすい形式の1つですが、弁護士の場合はここに最大の落とし穴があると感じています。「お客様の声」を用意する、という提案自体は他業種向けのSEO資料では当たり前の手法です。それをそのまま実行すると、指針が名指しする虚偽表示の例に触れかねません。事例を書くなら、固有名詞を伏せた進め方の説明に置き換えるところから検討すべきだと考えています。

出典:業務広告に関する指針|日本弁護士連合会有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成|Google 検索セントラル弁護士職務基本規程(平成十六年十一月十日会規第七十号)|日本弁護士連合会

分野によって規制の当たり方が変わる——債務整理領域で名指しされている表現

債務整理分野で指針が名指しする3つの表現(借金減額シミュレーター・今すぐ請求しないとあなたの過払金は失われます・全国対応)と、離婚や相続、交通事故など指針に名指しの例示がない分野を左右に並べた対比図。安全・危険を示す色分けはせず、例示は典型例であり全てを網羅しないという注記と、例示がない分野にも規程第3条は等しくかかるという注記を添えている

分野別ページはSEOの定石ですが、指針の例示は分野によって密度が違います。特定の分野だけが名指しで例示される構造は美容クリニックのSEO対策|施術名と価格表示の規制から解説でも扱いました。本記事で確認するのは、指針が債務整理事件について名指ししている表現のほうです。同じテンプレートを全分野へ流用してよいかどうかが、ここでの論点です。

診断ツール・シミュレーターは、債務整理領域で名指しされている

指針は「借金減額診断」「借金減額シミュレーター」等と称するページを2か所で例示しています。1つは、入力内容によらず減額の可能性があると表示して依頼を勧誘する表現で、誇大又は過度な期待を抱かせる広告の例。もう1つは、入力だけでは事件の処理方針等を判断できないのに判断できるかのように誤信させる記載で、誤導又は誤認のおそれのある広告の例です。 設置自体を一律に禁じる規定はなく、問われるのは表示のさせ方。

「今すぐ請求しないと」——困惑させ、過度な不安をあおる広告

指針は、困惑させ又は過度な不安をあおる広告の例として「今すぐ請求しないとあなたの過払金は失われます。」を挙げ、「強硬な取立ての状況の体験記を記載する等して、債務整理事件の依頼をしないとあたかも同様の状況に陥るかのように不安にさせて勧誘する広告」も同様に例示しています。煽り系のタイトルやリード文は、この規律に触れうる書き方です。

「全国対応」は債務整理事件の文脈——他分野へそのまま一般化しない

指針は「24時間365日相談対応」を、相談体制が整っていないのに直接的対応をしてもらえるとの誤解を与える表現の例として挙げています。こちらに分野の限定はありません。一方「全国対応」のほうは、債務整理事件処理の規律を定める規程を前提とした例示です。 全国対応と書けば必ず違反になるといった一般化は誤りで、当てはめは分野や事務所の体制ごとに異なります。

例示は網羅ではない——「望ましい」規定の読み方

指針は「望ましい」規定に従わなかっただけで直ちに違反とは解釈しないとしたうえで、「典型的な例、事例等を示すことを目的とするものであって、全ての例、事例等を網羅することを目的とするものではないため、当該例、事例等に限らず、当該例、事例等に準じるものについても適用があるものとして解釈し、及び運用するものとする。」とも述べています。表現が規程に触れるかは、所属弁護士会にも確認するのが確実です。

星野 和大
執筆者の見解
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表

分野別ページを作るとき、離婚や相続の相談ページと、債務整理の相談ページを同じトーンで書いてよいか、という質問をよくいただきます。指針を読む限り、債務整理は名指しで例示が多い分野です。表現の自由度が分野によって違うという前提を持たずに全分野へ同じテンプレートを流用すると、特定の分野だけで表現が引っかかるリスクが高くなると考えています。

出典:業務広告に関する指針|日本弁護士連合会

集客の提案を受けたら、費用より先に非弁提携の有無から見る

SEO業者やポータルからの提案を発注前に確認する4ステップのフロー図。①弁護士法72条の法律事務の取扱い・周旋に当たらないか②弁護士法27条・職務基本規程11条の疑うに足りる相当な理由のある者からの紹介・利用になっていないか③弁護士法74条の非弁護士による標示・記載になっていないか④契約内容と入出金記録を広告終了から3年間保存する、という一方向の矢印のみで示した図。価格軸のラベルやYES安全・NO違法の判定ラベルは付けていない

SEO業者やポータルサイトからの提案を検討するとき、多くの事務所は費用対効果を軸に判断します。業務そのものへの法規制という共通構造は税理士のSEO対策は何を押さえる?税理士法と情報鮮度から解説でも扱いましたが、弁護士の場合は費用より先に、提携そのものが非弁提携にならないかを確認する必要があります。根拠となる条文を順に見ていきましょう。

弁護士法第72条——「周旋」を業とすることの禁止

弁護士法第72条は、報酬を得る目的で法律事件に関する法律事務を取り扱うこと、またはその周旋をすることを業とすることを、弁護士・弁護士法人でない者に禁じています。SEO業者やポータルとの契約が、この「周旋」に当たらないかというのが確認項目の1つ目です。 個別の契約形態が該当するかどうかの当てはめは、条文を読むだけでは決まりません。条文は後掲の表のとおりです。

弁護士法第27条・職務基本規程第11条——「疑うに足りる相当な理由のある者」まで射程

弁護士法第27条は「弁護士は、第七十二条乃至第七十四条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。」と定めています。弁護士職務基本規程第11条はさらに射程が広く、規定に違反すると疑うに足りる相当な理由のある者からの紹介・利用も禁じています。第72条から第74条の条文は次の表のとおりです。

出典:弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)|e-Gov法令検索/現行版(2025-10-01施行)、弁護士職務基本規程(平成十六年十一月十日会規第七十号)|日本弁護士連合会/令和3年6月11日改正/確認日 2026-08-09

規定条文(原文ママ)
弁護士法 第72条弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。
弁護士法 第27条弁護士は、第七十二条乃至第七十四条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。
弁護士法 第74条第1項弁護士又は弁護士法人でない者は、弁護士又は法律事務所の標示又は記載をしてはならない。
弁護士法 第74条第2項弁護士又は弁護士法人でない者は、利益を得る目的で、法律相談その他法律事務を取り扱う旨の標示又は記載をしてはならない。
弁護士職務基本規程 第11条弁護士は、弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七十二条から第七十四条までの規定に違反する者又はこれらの規定に違反すると疑うに足りる相当な理由のある者から依頼者の紹介を受け、これらの者を利用し、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。

弁護士法第74条——非弁護士による標示・記載の禁止

弁護士法第74条は、弁護士又は弁護士法人でない者が弁護士や法律事務所の標示・記載をすること、利益を得る目的で法律相談その他法律事務を取り扱う旨の標示・記載をすることを禁じています。この条文は、SEO業者や制作会社、メディア運営者側にかかってくる規定です。 「利益を得る目的で」という要件があるため、当てはめは個別の事情によって変わります。

契約の内容と入出金は、広告終了から3年間の保存対象

令和8年7月1日施行の改正で、広告業者との契約書その他契約の内容を証する書面・電磁的記録、および入出金に関する記録が保存対象に加わりました。施行からまだ約1か月しか経っていません。 指針はあわせて、SEO対策のため第三者が管理するウェブサイト等を利用する場合について、「その広告配信方針や報酬発生の条件等を記載した資料又は電磁的記録を保存するものとする。」と定めています。

星野 和大
執筆者の見解
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表

SEO業者やポータルサイトからの提案を検討する際、多くの事務所は費用対効果だけを見て判断していると感じます。弁護士の場合はそれ以前に、提携そのものが弁護士法上の周旋や紹介に当たらないかを確認しておきたいところです。契約前にこの一点を押さえているかどうかで、その後の判断の重みがまったく変わってくると考えています。

出典:弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)|e-Gov法令検索弁護士職務基本規程(平成十六年十一月十日会規第七十号)|日本弁護士連合会弁護士等の業務広告に関する規程(会規第四十四号)|日本弁護士連合会

Googleビジネスプロフィールで弁護士は「個人専門家」——事務所と個人でプロフィールを分ける

事務所のビジネスプロフィール(運営組織名を含む)と弁護士個人のビジネスプロフィール(専門家本人の名前のみで運営組織名は含めない)を左右に対比した図。右下に1人の専門家が専門分野ごとに複数プロフィールを作れない旨の注記と、ビジネス名の不可・可能の対比要素を添えている

Googleのガイドラインを見ると、弁護士はGoogle公式が名指しする数少ない「個人専門家」の対象です。この位置づけを踏まえてプロフィールを設計する必要があります。 ビジネス名にキーワードを盛れないという制約はすでに広く知られていますが、事務所単位のプロフィールと弁護士個人のプロフィールをどう分けるかまで踏み込んで確認していきます。

弁護士は「個人専門家」——専門分野ごとに複数プロフィールは作れない

Googleは「個人専門家とは、対外的に専門業務を行い、通常は独自の顧客層を抱える専門家です。」とし、弁護士をこの対象に含めています。「1 人の専門家が専門分野ごとに複数のビジネス プロフィールを作成することはできません。」とも明記されており、「相続専門」「離婚専門」で別々のプロフィールを作る運用は認められない仕組みです。

事務所のプロフィールと、弁護士個人のプロフィールを分ける

Googleは、同一の事業所に複数の専門家がいる場合の扱いも定めています。「専門家とは別に、運営組織が事業所のビジネス プロフィールを作成します。」というのが1つ目の記述。もう1つは「専門家のビジネス プロフィールには、その専門家の名前のみを含め、運営組織の名前は含めません。」という記述です。複数の弁護士が所属する事務所では、事務所のプロフィールと弁護士個人のプロフィールは別物という整理です。

ビジネス名にキーワードを盛れない——「不可/可能」の実例

Googleは「ビジネス名に不要な情報を含めることはできません。含めると、ビジネス プロフィールが停止される場合があります。」と明記済み。マーケティングタグラインや所在地情報の表示は「不可」の類型に当たります。 原文の例は次の表のとおり。

出典:Google に掲載するビジネス情報のガイドライン|Google ビジネス プロフィール ヘルプ(https://support.google.com/business/answer/3038177?hl=ja)/確認日 2026-08-09

名前に追加できない情報不可の例(原文ママ)可能の例(原文ママ)
マーケティング タグラインABC 銀行、日本一便利な銀行/XYZ 薬局 気合いだ!ABC 銀行/XYZ 薬局
営業時間の情報ベストピザ 24 時間営業/ABC アウトレット(営業時間外)ベストピザ/ABC アウトレット
所在地情報の表示ホリデーホテル(中央自動車八王子インターすぐ)/神田駅前のABC スポーツジムABC ホテル八王子/ABC スポーツジム神田

※ 事務所名に得意分野や駅名を組み込む付け方も「不可」側の類型に当たる形です。この置き換えは本記事による解釈であり、Google原文に法律事務所の例は登場しません。

クチコミ収集は「有価物等供与の禁止」とセットで考える

Googleは「クチコミ数が多く評価の高いビジネスは、ローカル検索結果のランキングが高くなります。」と説明済み。一方で規程第7条は「弁護士等は、広告の対象者に対し、社会的儀礼の範囲を超えた有価物等の利益を供与して広告をしてはならない。」と定めており、特典付きのクチコミ依頼はこの規定に触れかねません。

星野 和大
執筆者の見解
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表

複数の弁護士が所属する事務所のGoogleビジネスプロフィールを整理するご相談で、事務所全体のプロフィール1つに全員の情報を詰め込んでいる例をよく見かけます。Googleのガイドラインに沿えば、事務所のプロフィールと弁護士個人のプロフィールは別物です。どちらか一方だけを整備して終わりにしないことが、ローカル検索での見つかりやすさに関わってくると考えています。

出典:Google に掲載するビジネス情報のガイドライン|Google ビジネス プロフィール ヘルプGoogle のローカル検索結果のランキングを改善するヒント|Google ビジネス プロフィール ヘルプ弁護士等の業務広告に関する規程(会規第四十四号)|日本弁護士連合会

合同会社ワンブリマーケティングについて

合同会社ワンブリマーケティングは、SEO・オウンドメディア運用・生成AI活用支援を専門とする企業です。非弁提携の確認や解決事例の表現といった、弁護士に固有の検討事項に配慮しながら、キーワード設計から記事制作、外注時の確認ポイントの整理までを支援しています。 自事務所に合った進め方を相談したい方は、お問い合わせからご連絡ください。

弁護士のSEO対策についてよくある質問

Q1. 事務所のホームページやコラムも、日弁連のいう「広告」に当たりますか?

日弁連の規程がいう「広告」は「伝達及び表示行為であって、顧客又は依頼者となるように誘引することを主たる目的とするものをいう。」と定義されています。媒体は限定されておらず、ウェブサイトやコラム、SNS投稿もこの目的に当てはまれば規律の対象です。動画やSNSは、事務所名の記載だけで直ちに判断されるわけではなく、全体として顧客誘引が主たる目的かどうかで判断されます。

Q2. 解決事例やお客様の声をサイトに載せてもよいですか?

掲載できる場合はありますが、条件つきです。指針は「解決事例として、架空の事例を記載すること及び解決できた場合であっても、表示されたとおりの解決ができなかった事例を脚色して記載すること。」を虚偽表示の例として挙げており、お客様の声や法律相談実績にも同様の例示があります。規程第4条は過去の事件の表示を原則として認めず、依頼者の同意があるときや、依頼者が特定されず利益を損なうおそれがないときが例外です。

Q3. SEO会社やポータルサイトに集客を依頼するとき、何を確認すればよいですか?

費用より先に、提携そのものが非弁提携(弁護士法第72条・第27条、弁護士職務基本規程第11条)に触れないかを確認しましょう。 加えて広告業者との契約書や入出金の記録は、広告終了から3年間の保存対象です。Googleも、業者選びの責任は最終的に利用者側にあり、契約者をどのように支援するつもりか事前に把握しておくよう促しています。

Q4. 「地域名+分野」のページを数多く作るのは有効ですか?

有効な場合もありますが、対応エリア名だけを差し替えた量産は要注意です。Googleは「誘導ページの不正使用とは、特定の類似した検索語句で検索結果の上位に表示されることを目的にサイトまたはページを作成することです。」と説明しており、都市名や地域名を羅列したテキストのブロックも「キーワードの乱用」の例に挙がっています。東京都に弁護士の49.97%が集中している以上、地域名だけでは埋もれがちです。

Q5. SEOの効果はどのくらいで出ますか?

Googleは「一般的には、数週間待ってから Google 検索の検索結果に良い影響があったかどうか確認することをおすすめします。」としています。変更の反映には数時間で済むものもあれば、数か月かかるものもあるというのが実際のところです。 「3か月で成果が出ます」のような具体的な期間は、Google公式には示されていません。まずは数週間単位で確認してみましょう。

まとめ:非弁提携と事例表示に配慮し、弁護士のSEOを着実に進めよう

弁護士のSEOは、一般的な手法をそのまま実行する前に、誰と組むか、何を事例として見せるかを弁護士固有のルールに照らして設計するものです。SEO業者やポータルとの契約は非弁提携に触れないかを確認し、解決事例は依頼者の同意があるか、依頼者が特定されず利益を損なうおそれがない場合に限って載せます。お客様の声については、実在の依頼者が関与していない文章が虚偽表示の例に挙がっている点にも注意。 地域名×分野のページ設計やGoogleビジネスプロフィールも、事務所と弁護士個人を分けて考えます。まずは自事務所のサイトと外注契約、事例ページの3点を、所属弁護士会にも確認しながら点検してみましょう。

星野 和大
星野 和大合同会社ワンブリマーケティング 代表
オウンドメディアを自ら立ち上げて売却し、SEOスタートアップの創業メンバーとしてメディアのグロースに従事。事業会社でのマーケティング、フリーランスとしての戦略立案を経て現職。生成AI領域では国内最大の生成AI活用支援コミュニティで講師を務め、企業研修・カンファレンス登壇も多数。
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